たまプラーザ南口 胃腸内科クリニック

巷に溢れるダイエット法の是非 自分でもいろいろ試してみました

TO TRAINING 巷に溢れるダイエット法の是非

EMSベルト

EMSベルト

約30分間、腹部に1日2回巻くだけで200回腹筋を行ったとの同じ効果で腹筋がバキバキになるという謳い文句で 人気を博したお腹周り(腹筋)にターゲットを絞ったダイエット法です。

現在はポルトガル出身の人気サッカー選手をメインキャラクターに起用している製品や元政治家で、 現在バラエティー番組などで活躍されている方をメインキャラクターに起用している製品など多くの製品が出回っており、 1998年頃から登場して派生品が毎年出てきては消えてを繰り返していますが、基本的な原理はほとんど変わっていません。

基本的には低周波治療器で、これだけでは腹筋がシックスパックになることはまずありませんし、 長時間使用するとヤケドの危険性もあり、注意が必要です。私も以前試しに買って使用してみましたが、3ヶ月使用しても腹筋は全く鍛えられませんでした(当たり前ですが。。。。)。

置き換えダイエット

EMSベルト

1日1~2食の食事を1食170キロカロリーの低カロリー飲料や低カロリープロテインに置き換えるというダイエット方法です。 これはVLCD理論に基づくダイエット法でベリー・ロー・カロリー・ダイエットの略で、「体に必要な栄養素が十分に含まれていれば、1日の摂取カロリーを大幅に 低く抑えても健康上、支障はない」という考えの基に1日の摂取カロリーを大幅に減らすダイエット法です。

このVLCD理論に基づいたダイエット方法で体重減少を実践している専門機関も多くあり、医学的に見ても理論自体に問題はありませんが、筋トレなどの 基礎代謝を上げる運動などをしないで1日の摂取カロリーが基礎代謝(何もしない安静時にでも消費するカロリーで、成人男性で1800〜2200キロカロリー、 成人女性で1100〜1300キロカロリー)を下回ると筋肉量までもが落ちてしまい、基礎代謝量が極端に減ってしまい、「太りやすく痩せにくい体」になってしまいますので、注意が必要です。

ダイエット後にいったん、置き換え食品を通常の食事に戻してしまうと摂取カロリーが大幅に増えてしまい、基礎代謝の落ちた「太りやすく痩せにくい体」では 急激なリバウンドとなってしまいますので、運動をしながら摂取カロリーを抑えた食事を継続していくか、一生置き換えダイエットを続けるしかなくなります。

市販のダイエット薬品

ナイシトールG おなかの脂肪を落とす

市販の肥満改善薬の多くは防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)や大柴胡湯(だいさいことう)という漢方薬の成分からなっています。 これらの漢方薬には体内の毒素を排出して、代謝を上げ、体質改善に効果的という作用からダイエットに用いられています。体重が落ちる薬品の多くには下剤の成分が 含まれているものが大部分であり、この漢方薬にも「大黄(だいおう)」と呼ばれる下剤の成分が含まれています。

この成分のお陰で便がスッキリ出るため体重がやや減る方もいますが、基本的には大幅に体脂肪を落とす働きはありません お笑いタレントさんなどが下剤の含まれた健康食品で痩せるという企画が一時期流行しましたが、これは下剤を含むダイエット食品を 摂取すると同時に糖質を中心にした食事制限も合わせて行っています。主には食事制限でダイエットした効果(下剤の効果も少しはありますが。。。) で痩せますが、同時に筋肉が大きく落ちてしまいますので、リバウンドは必須のこととなります(実際に多くのお笑い芸人さん達は元の体重以上にリバウンドしています)。

下剤が含まれた製品を長期連用してしまうと腸が真っ黒になる「大腸メラノーシス」という状態になることが多く、 さらに多量の下剤を服用しないと便が出にくくなるという状態に陥ってしまいますので、注意が必要です。 医療機関で処方される処方薬にもダイエット薬と呼ばれるものがいくつかありますが、これは脳などの中枢神経系に作用を及ぼす薬品であったり、 ホルモン剤であったりする薬品が大部分ですので、長期連用では副作用の危険性がかなり高くなってしまいます。基本的には「服用するだけでやせる薬はない!」と認識してください。

単品ダイエット

バナナ

朝バナナダイエットで一躍ダイエットブームを巻き起こした単品ダイエットですが、毎年のように食材を変えながらテレビなどで取り上げられています。 1975年頃の「紅茶キノコ」が始まりだったのではないかと言われており、今までにブームになったものを挙げると「コンニャクマンナン(マンナンライフの蒟蒻畑〜)」 「粉ミルク(ダイアナ妃も行っていたと噂あり)」「ゆで卵(ゆで卵、コーヒー、グレープフルーツなど決められた食べ物だけ食べるという、とある国立病院が発案したダイエット方法)」 「りんご(私もやりました!)」「ココア」「黒酢」「にがり」「寒天」「キャベツ」「納豆」「バナナ」などなど、皆さんも一度は経験あるのではないでしょうか?これらは同じ食材だけを食べる 「〜だけ食べる」ダイエットとして有名で、リンゴなどかさのある食材で空腹感をまぎらわせたり、寒天やキャベツ、納豆など低カロリーの食材で1日の摂取カロリーを減らすだけのダイエット方法です。

しかしながら1日に必要な栄養素が絶対に単品だけでは摂取できないので、貧血や肌荒れなどの栄養障害が起こりやすいとされています。 1つの食品を食べ続けるストレスは想像に難くなく、その後の過食は必須となり確実にリバウンドするダイエット方法とも言えます。 リバウンド後もさらに別の食材の単品ダイエットを繰り返し、摂食障害になる方も多く目にすると言われています。

「〜だけ食べる」ダイエットは手軽でお金が掛からずテレビなどで流行しやすいダイエット法ですが、食材自体に体脂肪を減少させる効果は全くなく、 単に1日の摂取カロリーを極端に抑えて痩せる仕組みだけなので、栄養素不足での健康障害も考えると、最もやってはいけないダイエット方法と言えます。 私もりんごダイエットを行ったことがありますが、食事を元に戻した途端にリバウンドしてしまいました(当然の事ですが。。。)。

加圧トレーニング

加圧トレーニング

芸能人にも人気の加圧トレーニングですが、加圧トレーニングって万能なダイエット方法または筋トレなのでしょうか? 私も32歳頃から36歳ぐらいまで週2回の加圧トレーニングを自己流で続けていました。 一番の目的は少しの負荷で筋肉を大きな負荷を掛けている錯覚に陥らせることにより大きな効果を得るという利点を狙っての筋トレ方法と認識していました。

加圧トレーニングとは、腕や大腿の付け根に加圧ベルトを装着して、圧をかけることにより血流を制限して、筋肉の酸素環境・代謝環境を極めて過酷な状況にさせて、 高度なトレーニングを行っているかのように筋肉に錯覚させる方法です。いわゆる、筋肉を騙しているという状況を作り出す方法です。 しかしながら、ベルトを締めることにより筋肥大の効果が得られるのは、ベルトを締めている部位に限られています。すなわち、ベルトで締めている上腕の一部と大腿の一部に限られてしまいます。

腹筋・大胸筋・広背筋などのベルトで締めていない部位には一切効果はないのです。加圧トレーニングで注目されているのが「成長ホルモンの分泌を促す」という事ですが 成長ホルモンは筋肉の成長を促す他に脂肪分解効果や新陳代謝促進による美容効果にも役立つと言われています。加圧トレーニングを行うことにより分泌される成長ホルモンは 安静時の約300倍になると推察されていますが、加圧トレーニングでなくても強度の強い運動や筋トレを行うと成長ホルモンが安静時の約200倍分泌されることが分かっています。

また、22時から2時までの睡眠のゴールデンタイムに寝ているだけで高度なトレーニングと同様に約200倍もの成長ホルモンが分泌されることが様々な研究で分かってきています。 ということで、加圧トレーニングだけが成長ホルモンを特別に分泌させるわけでもなく、腕や足の付け根だけに限局して筋トレ効果を生む加圧トレーニングは ダイエットや体幹のダイエット効果にはあまり直接的には効果がないことが分かると思われます(加圧トレーニング続けて、腕や足太ももの筋肉量が増えることにより代謝がアップし、 太りにくい体になる効果はあると思います)。つまり、加圧トレーニングが特別にダイエットに効果的だとは言えないと思われます。

ファスティング(断食ダイエット)

ファスティング(断食ダイエット)

ファスティングとは「断食」という意味で、古くから修行の一環などで広く行われており、以前は宗教色が強いものでありましたが、 現在では普遍的な健康法として見直されて、ダイエットの一種として様々な場面で取り入れられています。 基本的には2~3日間の断食の期間は水分の摂取とファスティング用のジュースのみの摂取となりますが、思っている以上に空腹感が強く、 最初の頃は食事の事しか頭に浮かばないぐらいの辛さがあります。

途中フラフラするような貧血様の状態になることが多く、空腹に慣れる必要があります。 結局、極度の空腹感から2~3日間のファスティング(断食)期間が終了すると猛烈な食べたい気持ちに駆られてリバウンドしてしまう方がほとんどだとされています。 水分とジュースだけだと1日の摂取カロリーは500キロカロリー程度となり、一時的に体重は減少しますが、カロリー制限だけでは筋肉量が極端に減ってしまい、 代謝量も同時に極端に減ってしまいます。その結果「痩せにくく、太りやすい体」になってしまい、リバウンドは必須の事となってしまいます。

結果的に極度の空腹感に耐えながらのファスティングは健康的なダイエットとは言えず、むしろリバウンドしやすく、太りやすい体になってしまうと考えます。 ダイエット目的ではなく、デトックス(体の毒素を出すこと)目的や胃腸を休める目的で1日ぐらいファスティングを行うのは非常に効果的だと思われますが、 ダイエット目的としてのファスティングはお勧めできません。

サウナダイエット、サウナスーツダイエット

サウナダイエット、サウナスーツダイエット

サウナスーツを着ての発汗や、サウナに入っての発汗によるダイエットは果たして効果はあるのでしょうか? ボクサーなどが試合前の減量で使用するイメージがあり、私も痩せるはずだと以前は思っていました。私も以前自分で購入して使用してみましたが、 驚くほど汗をかくため効果は抜群だと思ってしまうのと同時に、汗をかいているという苦行にも似た状況があり、効果抜群と思っていましたが、 水分をその後に取ればすぐに体重は元に戻ってしまいます。

多くの人が勘違いしていますが、汗をかくことと脂肪が燃焼することとは何の関係もありません!汗をかいてもその後に水分を取れば、 体重は元に戻ってしまいます。格闘家やボクサーがサウナスーツを着て体重を落とすのは、体重制限ギリギリまで体内の水分量を減らして、 体重を落としますが、脂肪を減らしているわけではありません。友人の格闘家から聞いた話しですが、70キロリミットでの前日計量において69.8キロで計量をパスしたあとは、 水分や食事を大量に摂ることで翌日の試合日には80キロぐらいに体重が増量するとのことで、これもただ単に水分量が減っただけの脱水による体重減であることの証拠だと思われます。

番外編 小顔ローラー

小顔ローラー

顔をゲルマニウム配合のローラーでコロコロするだけで小顔になるという「小顔ローラー」ですが、本当に小顔になれるのでしょうか?

結論は「ノー」でした。小顔ローラーの原理としては、ゲルマニウム配合のローラーで顔をコロコロとタッピングすることにより表情筋を刺激して顔全体を引き締める効果があり、さらには顔全体のリフトアップ効果があるとされています。しかしながら、このようなローラーでの刺激程度の「圧」では顔の表情筋を刺激するだけの効果は医学的には考えられず、小顔効果は得られないというのが結論です。

私も試しに2週間使用したことがありますが、小顔効果は「ゼロ」でした。

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