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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年05月12日
こんにちは、平島です。
今週はいよいよ
ホノルルトライアスロン2025
の週となります。
5月18日日曜日朝の5時45分頃にスタートとなります。
まず、
スイム1.5キロ
バイク40キロ
ラン10キロ
となります。
スタートのスイムの時は
まだ夜が明けていない
ので、
暗闇の中の海を泳ぐのは最初は恐怖で焦る感じが毎年出てしまいます。
今年は、
7人で参加予定
なので、みんなで完走を目指します!
今回は、日々の診療でもよく聞かれる
「乳酸菌って本当に摂ったほうがいいの?」
という疑問にお答えします。
特に
「1日1兆個の乳酸菌」
という乳酸菌摂取の目安について、解説していきます。
私たちの腸内にはおよそ
100兆個以上の腸内細菌
が棲みついており、
これは体内の全細胞数の
約1.3倍に相当する
と言われています。
これらの細菌が集団として形成する
「腸内フローラ(腸内細菌叢)」
は、
単なる消化補助だけではなく、免疫・代謝・ホルモンバランス・メンタルヘルス
にまで影響を及ぼします。
例えば、
腸には体内の免疫細胞の
約70%が存在
し、
「第二の脳」
とも呼ばれるほど自律的な神経ネットワークが発達しています。
つまり、
腸の状態が悪化すると、風邪を引きやすくなったり、疲れが取れなかったり、気分が落ち込むなど全身に波及します。
乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制する重要な働きを持っています。
代表的な効果には以下のようなものがあります:
免疫機能の強化(NK細胞やマクロファージの活性化)
炎症の抑制(アレルギーや自己免疫疾患の緩和)
消化・排便のサポート(便秘・下痢の改善)
精神の安定(腸脳相関を通じたセロトニン分泌調整)
生活習慣病の予防(血糖値・血圧・中性脂肪のコントロール)
このように、乳酸菌の作用は
「腸に効く」
だけにとどまりません。
腸内細菌の総数が
100兆個
ともなると、乳酸菌を摂取しても“菌の海”に流されてしまう可能性があります。
そこで、
「一定の影響を与えるには、その1%である1兆個程度の乳酸菌が必要」
とする研究報告が出ています。
実際、ある研究では
「1兆個規模の乳酸菌群が腸内環境の変化や免疫マーカーの改善に有意差を示した」
というデータもあります。
しかし、
ここで問題となるのが
摂取手段
です。
市販のヨーグルト100gあたりに含まれる乳酸菌数は
およそ10億〜100億個
つまり1兆個を目指すなら
ヨーグルト100~1000個分
が必要になります。
現実的ではありませんよね。
加えて、
胃酸や胆汁で菌が死滅してしまう
ため、生きたまま腸に届く保証もありません。
そこで注目されるのが、
高濃度乳酸菌サプリメント
です。
1カプセルや1錠に
数千億~1兆個の乳酸菌
を含む製品もあり、
胃酸に強いカプセル設計や
「死菌でも効果がある」
とされるパラプロバイオティクス技術も進化しています。
乳酸菌は一時的に摂っても腸内に定着するわけではありません。
大事なのは
毎日継続すること
個人差はありますが、2~3週間以上続けることで便通改善や体調の変化を実感する人も多いです。
また、
乳酸菌はあくまで
「腸内フローラのバランスを整える」
ものであり、
食物繊維やオリゴ糖といったプレバイオティクス
との併用が理想的です。
腸は免疫や精神に深く関与する“健康の司令塔”
乳酸菌は全身の健康に影響を与える多機能な善玉菌
腸内環境に影響を与えるには1兆個レベルの乳酸菌が必要
ヨーグルトで摂るのは非現実的、サプリ活用が効果的
継続摂取と食生活の見直しが、健康維持の鍵
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。