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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年05月19日
こんにちは、平島です。
このブログが公開される頃には
ホノルルトライアスロン2025
がちょうど終わっている頃だと思います。
今回は仕事が忙しい事が多かったので、練習が十分にできていない感じがありましたが、
時間がない中でも自分なりにベストを尽くして
「スキマ時間」
で練習してきました。
トライアスロンのレースではできるだけ体重を絞っておいた方が良いので、年明けぐらいから
糖質制限
に力を入れてきました!
糖質制限中に注意しないといけないのが、
果物
という意外な盲点です。
「糖質制限中でも食べれて、肥満やがんにつながらない果物があるって本当?」
というテーマで、深掘りしていきたいと思います。
日々の診療のなかで感じるのは、
果物=健康に良い
という“思い込み”がとても根強いということです。
特に
「ビタミンが多いから」
「自然の甘みだから安心」
と思って、毎食後に果物を食べる習慣がある方はとても多いですね。
確かに、果物って身体にいいイメージしかありません。
でも、それが実は肥満や老化、さらには糖尿病の悪化にも関係しているということなんですね。
果物は確かに
ビタミンCやカリウム、食物繊維
などを含んでいます。しかし同時に多量の糖質、
特に
果糖
を含んでいるため、
摂りすぎると健康を損ねる可能性があるんです。
とくに最近は果物が品種改良によって
「極端に甘く」
なっており、その結果として血糖や脂肪代謝への影響も無視できなくなっています。
最近AGEsってよく聞きますよね
AGEsは
「Advanced Glycation End Products」
の略で、日本語では
「終末糖化産物」
と訳されます。
糖とタンパク質が体内で非酵素的に結合する
「糖化反応」
によって生成される物質で、
体の老化や慢性炎症、さらには動脈硬化の主因
として注目されています。
糖とタンパク質が結びつくって、どんな影響があります?
糖とタンパク質が結びつくと、タンパク質本来の機能が損なわれます。
特に
血管の内皮やコラーゲン繊維など
が糖化されると、しなやかさを失って硬くもろくなり、
血流障害やしわ、骨粗鬆症の原因
にもなります。
つまり、AGEsは
「体のサビ」
と言ってもいいでしょう。いわゆる酸化作用ですね。
ちなみに、
私たち医師の間では
「糖化=時間がかかる酸化」
とも言われるほど、
ゆっくりとしかし確実に体を劣化させていく現象
なんです。
ここからが本題ですね。
果物に含まれる「果糖」がAGEsを作りやすいと?
その通りです。
果糖はブドウ糖と違い、血糖値をそれほど上昇させませんが、
代謝される過程でタンパク質と非常に強く結合しやすく、
AGEsを爆発的に生み出します。
試験管内の実験では、果糖のAGEs生成力は
ブドウ糖の10倍〜100倍
とも言われています。
しかも
果糖は主に肝臓で代謝されます。
その過程で中性脂肪に変換されやすいため、果糖を多く摂取することで
脂肪肝や内臓脂肪型肥満、さらにはインスリン抵抗性が悪化しやすくなります。
これは私たちが臨床で日常的に直面している現実です。
つまり、
血糖値に出にくいからといって安心できないってことですね。
むしろ血糖値に出ないからこそ、
気づかないうちに
AGEsや脂肪が体内で蓄積され、静かに健康を蝕んでいく。
これが果糖の恐ろしさです。
果糖のAGEs生成力は桁違いなんです、怖いですね!
でもやっぱり、
「果物は自然の食品だから安全」
って思ってしまいますよね。
確かに
「自然だから安全」
という考えは直感的には理解できます。
けれども、
現代の果物は自然のままではありません。
昔の柿やブドウはこんなに甘くありませんでしたし、野生の果実はむしろ酸味が強かった。今の果物は
糖度20度
を超えることも珍しくなく、
デザートやスイーツと同等と考えるべきで、果物も、量や種類によっては
「おやつ」
扱いが必要ですね。
たとえば
みかん2個で
糖質20g近くになりますし、
バナナ1本で糖質25gを超える場合もあります。
これを食後に毎日摂っていれば、当然
体内の糖化や脂肪合成は進みます。
ビタミンやミネラルを摂るなら、
葉物野菜やブロッコリーなど、糖質が少なく栄養価が高い野菜を中心にするのが望ましいですね。
ちなみに、
果物が貴重だった時代には、旬の果実を少量味わうことで季節の恵みを感じていたわけですが、
現代のように年中フルーツが手に入る環境では、そのありがたみもリスクも両方見直す必要があります。
では、ダイエットなどで糖質制限中でも食べて良い果物ってあるんでしょうか?
あります。それが
「アボカド」
です。
アボカドは分類上は果物ですが、糖質は
100gあたりたったの0.8〜0.9g。
しかもその多くが食物繊維。
脂質が主体で、
オレイン酸、ビタミンE、カリウム、マグネシウムも豊富に含まれています。
果物なのに、血糖値にも脂肪合成にも影響が少ない、理想的な食材というわけですね。
まさに
“果物界のスーパーエリート”
と言えます。
私自身も患者さんに
「果物がどうしても食べたいならアボカドを」
と勧めています。美容と健康を両立したい方にとっても、非常に優れた選択肢です。
ちなみにアボカドは、
南米原産で
「森のバター」
とも呼ばれる食材です。
脂質が多いのに肥満に直結しにくいのは、植物性不飽和脂肪酸が主体だから。
これはLDLコレステロールを減らす働きもあり、心血管疾患予防にもつながるんですよ。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。