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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年07月21日
こんにちは、平島です。
暑さがMAXになってきており、昼間に外出するのが辛いですね。
水分をこまめに摂らないと、知らず知らずのうちに
脱水症
になってしまいますので、水だけでなく、塩分もチャージして脱水対策気をつけてください!
診察時に便秘のことを相談されることが多いですが、
乳酸菌や短鎖脂肪酸の力を使って
腸内環境を整えたり、
腸の動きを活発にする
のが便秘改善につながる話をすることが多いです。
本日は、乳酸菌と短鎖脂肪酸について解説していきたいと思います。
乳酸菌は、
名前の通り
「乳酸」
を産生する善玉菌の総称です。
ヨーグルトや漬物など、発酵食品に多く含まれており、腸内環境の改善や整腸作用で知られています。
一方、
「短鎖脂肪酸(SCFA)」
とは炭素が6以下の脂肪酸群で、代表的なものに
「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」
があります
乳酸菌自体は酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を直接作りませんが、
腸内で乳酸菌が産生する“乳酸”を、他の腸内細菌(例えば酪酸菌)がSCFAに変換してくれます。
1,大腸のエネルギー源・バリア機能の強化
短鎖脂肪酸は大腸上皮細胞の直接的なエネルギー源となり、腸粘膜の成長や粘液分泌を促します。
2,腸内pHの調整と有害菌抑制
酸性環境により悪玉菌の繁殖を抑える効果があり、整腸作用の一翼を担っています。
3,代謝と免疫への影響
酢酸は脂肪細胞へのエネルギー取り込みを抑制し、
酪酸は交感神経を刺激してエネルギー消費を高めるなど、肥満予防や基礎代謝向上に寄与します。
さらに、
腸管バリアの強化は感染予防や炎症抑制など免疫調節にも有利です。
乳酸菌を摂るだけでなく、それを短鎖脂肪酸に変える腸内細菌(酪酸菌など)を育てることが重要です。
具体的対策は以下の通りです:
発酵食品を日々摂取:ヨーグルト、キムチ、納豆、味噌など。これらは乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌を含みます 。
水溶性食物繊維やオリゴ糖を併用:玉ねぎ、海藻類、根菜、冷えたご飯(レジスタントスターチ)などを積極的に。これらは腸内細菌の“エサ”になります。
プロバイオティクス・プレバイオティクスの併用:乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などを含むサプリメントを、食事と併用することで短鎖脂肪酸の生成が効率化されます
乳酸菌は単体で整腸作用をもたらすだけでなく、他の腸内細菌と協働し、
短鎖脂肪酸を介して腸(腸管のエネルギー、免疫、バリア機能)や全身の代謝調整、肥満・糖代謝・炎症抑制
にも影響を及ぼします。
つまり、
腸内細菌叢全体を“健康なコミュニティ”に整えることが、短鎖脂肪酸の恩恵を享受する鍵なのです。
発酵食品と食物繊維の習慣的な摂取は、簡便かつ効果的な「腸活」です。
短鎖脂肪酸増産は
「腸を育て、体を整える」
基本を象徴する取り組みとも言えるでしょう。
日々の食事に、ヨーグルト(できればビフィズス菌入り)+野菜、海藻、根菜などを加えて、ぜひ乳酸菌と短鎖脂肪酸による腸内環境支援を始めてください。
乳酸菌は乳酸を産生 → 他の菌が短鎖脂肪酸へ変換
短鎖脂肪酸は腸管と全身循環に多面的利益
食事+プロバイオティクス・食物繊維で腸内善玉菌を育む
L(乳酸菌)+F(ファイバー)=健康腸サイクルの構築💡
腸内環境の再構築は、毎日の習慣で十分効果が期待できます。
まずは
“発酵食品+食物繊維”
を無理なく取り入れてみてください。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。