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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年09月08日
こんにちは、平島です。
9月になりましたが、今年もあと残り4ヶ月ですね。
YouTubeの
内視鏡チャンネル
はチャンネル登録者数が爆増しています!
https://www.youtube.com/@naishikyo_ch
1日1002人の登録者数を最高に、
平均して
800人/日
の登録者数となっております!
うれしい限りですので、投稿を続けていくために勉強や調査も引き続きやっていきたいと思います!
私たちの“腸”には、脳に次ぐほど多くの神経細胞が存在し、
「エンタリック神経系」
と呼ばれる独立した神経網を形成しています。
この腸の神経ネットワークは、
「第二の脳」
とも称され、
脳と自律神経・免疫・ホルモンを介して双方向に情報をやり取りしています。
腸内環境の変化は、この
「腸脳軸(gut–brain axis)」
を通じて精神状態や認知機能にも影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかになってきています。
よく
「幸せホルモン」
と呼ばれるセロトニンは、実は身体全体の
約90%
が腸で作られており、主に
エンタロクロマフィン細胞(EC細胞)
によって生成されます。
腸で作られたセロトニンは、
腸管の蠕動や分泌を調整し、さらに脳に情報を伝える
「神経伝達物質」
としても機能します。
このため、腸内環境が悪化するとセロトニン生成に支障を来し、
うつ症状・不安傾向・睡眠障害・食欲障害
など精神面に悪影響を及ぼすことが知られています。
近年の研究で、
腸内細菌の組成の変化がアルツハイマー病などの認知症リスクや進行と関連する可能性
が示唆されています。
腸内環境の乱れが慢性炎症や免疫異常を引き起こし、脳の神経保護機構やアミロイドβクリアランスにも影響する
というメカニズムが注目されています。
ある動物実験では、
アルツハイマー患者由来の腸内細菌を若い動物に移植すると記憶障害が再現される
という報告もあり、
腸-脳間の因果的つながりが注目されています。
セロトニンのみならず、
ドーパミンやGABAなど複数の神経伝達物質が腸内細菌や腸上皮細胞によって生成または調整されていること
が最新研究で確認されています。
これにより、
情動の安定、意欲、睡眠、ストレス反応など精神・認知機能のあらゆる側面が腸の状態と深く関係している
と言えます。
1. 食事を見直す
食物繊維と発酵食品の十分な摂取:腸内の善玉菌を育て、短鎖脂肪酸の生成を促進し、腸バリアや神経伝達物質の生成を支えます。
2. プレバイオティクスとプロバイオティクスの活用
いわゆる“サイコバイオティクス(psychobiotics)”として、腸を通じて精神状態にポジティブな影響を与える菌株の研究も進行中です。
3. 認知機能を支える習慣
一卵性双生児を対象にした研究では、プレバイオティクス(イヌリン・FOS)摂取で記憶や認知機能の改善が示された例も報告されています。
4. ストレス・運動・生活リズムの整備
慢性的なストレスや睡眠不足は腸内の多様性を最大40%減少させ、不安・抑うつを招きます。
運動やストレス管理が腸内環境と精神の健康双方を支援する要素となります。
腸と脳、メンタル、認知症、セロトニン(ホルモン)は密接に結びついており、
腸を大切にする生活習慣が
「心と脳の健康」
を守ります。食事・菌・ライフスタイルを整えることで、精神の安定や加齢に伴う認知リスクの低減につなげられます。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。