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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年09月15日
こんにちは、平島です。
皆さん、
「腸活」
という言葉がブームになって久しいですね。
「毎日ヨーグルトを食べています」
「きのこや魚を意識して摂っています」
クリニックに来院される患者さんからも、そういった健康意識の高いお話をよく伺います。
それは本当に素晴らしいことです。
しかし、私たち専門医の目から見ると、多くの方が
「あと一歩、決定的に足りないもの」があるのも事実です。
「体に良い食事を心がけているのに、なぜか疲れやすい」
「風邪をひきやすい、アレルギーがなかなか治らない」
「なんとなく、心も体もスッキリしない」
その原因不明の不調の答えは、
あなたの「免疫システム」の動かし方
にあるのかもしれません。
今日のブログでは、最新の科学的知見に基づき、なぜ一般的な腸活だけでは不十分なのか、
そして、真に健康な体を手に入れるための「新常識」について、詳しく解説していきます。
私たちの体を病原菌やがん細胞から守ってくれている免疫システム。
これを一つの「軍隊」だと想像してみてください。
この軍隊が最強であるためには、二つの要素が不可欠です。
このどちらが欠けても、戦争には勝てません。
兵士が弱ければすぐに負けてしまいますし、
司令官が無能では、兵士が暴走して味方を攻撃(自己免疫疾患)したり、敵を見逃したり(がん、感染症)してしまいます。
そして、この「現場の兵士」と「総司令官」をそれぞれ鍛え上げる主役こそが、
「乳酸菌」と「ビタミンD」
なのです。
まず、「乳酸菌」の役割です。 乳酸菌は、主に小腸にある「パイエル板」という免疫のトレーニングセンターに働きかけます。
ここはいわば、
免疫という軍隊の「訓練所」です。
乳酸菌は、この訓練所にいる兵士(免疫細胞)たちを直接刺激し、
「おい、敵が来たぞ!訓練開始だ!」
と活を入れる「現場のトレーナー」の役割を果たします。
このトレーナーが優秀で、数も多ければ多いほど、現場の兵士たちは鍛え上げられ、
いざという時に敵を撃退する「現場力」が高まります。これが「腸管免疫」の正体です。
【なぜ「1日1兆個」も必要なのか?】
ここで重要なのが、その「量」です。
私たちの腸内には約100兆個もの腸内細菌がひしめき合っています。
この微生物の海に、市販のヨーグルトに含まれる数億〜百億個程度の乳酸菌を投入しても、正直なところ戦況はほとんど変わりません。
だからこそ私たちは、免疫のスイッチを確実に、そして力強く押し続けるために
「1日1兆個」
という圧倒的な量を推奨しているのです。
次に、「ビタミンD」の役割です。
ビタミンDは、腸管という”現場”だけではありません。
血液に乗り、全身のありとあらゆる免疫細胞に直接指令を出す「総司令官」の役割を担っています。
全身の免疫細胞には、
「ビタミンD受容体(VDR)」
という、司令官からの指令を受け取る”アンテナ”が備わっています。
ビタミンDがこのアンテナに結合すると、免疫細胞は「司令官からの指令だ!」と認識し、その働きを最適化します。
この絶妙なバランス調整こそが、ビタミンDの真骨頂なのです。
ここまで読んで、賢明な読者の皆様はもうお気づきでしょう。
乳酸菌は「腸」という現場で、ビタミンDは「全身」という大局で、全く異なる経路で免疫に働きかけています。
だからこそ、最強の免疫システムを築くためには、この両方を同時に、かつ十分な量で摂取することが不可欠なのです。
では、これを食事だけで達成できるでしょうか?
これは、現実的ではありませんよね。
日々の食事改善(たまごわやさしげ)は、健康の土台を作る上で何よりも重要です。
しかし、こと「免疫力の最適化」という目的においては、食事だけで必要量を満たすのは不可能と言わざるを得ません。
だからこそ、私たちは一貫してこう主張しています。
「素晴らしい食事を土台としながらも、真の健康を目指すなら、
『乳酸菌1日1兆個』
と
『ビタミンD1日4000IU』
この二つだけは、質の良いサプリメントを賢く活用することが、現代人にとって最も合理的で効果的な健康戦略である」
あなたのその一歩が、
10年後、20年後の健康を大きく左右します。
ぜひ、今日の話をご自身の生活を見直すきっかけにしていただければ幸いです。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。