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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年12月08日
こんにちは、平島です。
だいぶ寒くなってきたので、朝のランニングが快適になっていました。
朝が最高に気持ちよく、運動も快適にできる季節になりました!
12月23日に新刊の
「腸疲労」
という書籍を、KADOKAWAさんから出版することになりました。
腸疲労と腸内環境や食材について、解説してきます!
一生懸命書いた書籍ですので、読んで頂けるとうれしいです。
「腸内疲労」
について今回は解説していこうと思います。

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」
「食後に異常な眠気に襲われる」
「肌荒れや気分の落ち込みが続いている」
もしあなたがこのような不調を感じているなら、それは単なる疲れではなく、内臓からのSOS、すなわち
「腸疲労」
かもしれません。
私たちは普段、食べたものを消化・吸収してくれる腸の働きを「当たり前」だと思っています。
しかし、
暴飲暴食や糖質の摂りすぎ、添加物の多い食事によって、現代人の腸は24時間休むことなく働かされ、疲弊しきっています。
今回は、
万病の元となる
「腸疲労」
のメカニズムと、腸を休ませて蘇らせるための具体的な
「食事術」
について、解説します。
「腸が疲れる」
とは、どういう状態でしょうか?
医学的に言えば、それは腸の粘膜細胞がダメージを受け、炎症を起こし、機能不全に陥っている状態を指します。
そして、
この腸疲労が極限まで達すると起こるのが、私たちが最も警鐘を鳴らしている
「腸漏れ(リーキーガット症候群)」
です 。
健康な腸の壁は、細胞同士が
「タイトジャンクション」
という”かんぬき”で固く結ばれ、
栄養素だけを通して、毒素やウイルスはブロックする鉄壁のバリアを築いています 。
しかし、
腸疲労によってこのバリアが壊れると、
本来排出されるべき未消化の食べ物や細菌の毒素(LPS)が、ザルのように血中に漏れ出してしまいます 。
これが全身を巡り、脳や皮膚、筋肉で慢性的な炎症を引き起こすのです。
「原因不明の不調」の正体の多くは、
実はこの「腸漏れ」にあるのです。
腸疲労を回復させる第一歩は、
「腸に良いものを食べる」
ことではなく、
「腸を疲れさせるものをやめる」
ことです。
これを「引き算の健康法」と言います。
特に、
以下の5つは腸の粘膜を傷つけ、炎症の火種となるため、私たちは
「5大腸毒」
と呼んで注意を促しています 。
1,小麦(グルテン): 粘着性が強く腸壁にへばりつき、バリアをこじ開ける「ゾヌリン」という物質を分泌させます 。
2,乳製品(カゼイン): 消化不良や炎症の原因になります 。
3,白砂糖: 悪玉菌やカンジダ菌(カビ)の最高のエサとなり、腸内環境を一気に悪化させます 。
4,合成添加物: 腸内細菌のバランスを崩し、粘膜にダメージを与えます 。
5,トランス脂肪酸: 細胞膜を硬くし、炎症を促進する「食べるプラスチック」とも呼ばれる油です 。
まずは、
「朝の菓子パン」や「甘いカフェオレ」
をやめることから始めてみてください。それだけで、腸の負担は劇的に軽くなります。
腸の負担を減らした上で、次は疲弊した腸を修復するステップです。
腸の粘膜は、わずか3〜5日という驚異的なスピードで生まれ変わっています 。この修復作業に必要な材料が
「タンパク質」
です。
おすすめ食材: 消化の良い「温泉卵」や、発酵食品でもある「納豆」、DHA・EPAを含む「サバ缶(水煮)」などがおすすめです。
特に
朝食にタンパク質を摂ることで、体温が上がり、腸の動きも活発になります 。
また、
腸の細胞同士の結合(かんぬき)を強固にするためには、
「ビタミンD」
が不可欠です。
サプリメント(1日4000IU推奨)を活用するか、干し椎茸や鮭などを積極的に食べましょう 。
腸内細菌に元気に働いてもらうためには、彼らのエサとなる
「発酵性食物繊維」
が必要です 。
おすすめ食材: 水溶性食物繊維が豊富な
「海藻(わかめ、めかぶ)」
や
「オクラ」「長芋」
などのネバネバ食材。これらは腸内細菌によって発酵され、
腸のエネルギー源となる
「短鎖脂肪酸」
を生み出します 。
どんなに良い食事も、休みなく食べ続けていては腸は回復できません。
私たちが推奨しているのは、
「夕食から翌日の朝食まで12時間空ける」
だけのプチ断食です 。
例えば、
夜20時に夕食を食べたら、朝8時まで水やお茶以外は口にしない。
これだけで、
寝ている間に
腸の大掃除(オートファジー)
が発動し、翌朝にはリセットされた状態で動き出すことができます 。
「腸疲労」
は、
放置すれば全身の病気につながる怖い状態ですが、裏を返せば、食事を変えるだけですぐに改善できる希望の状態でもあります。
1,5大腸毒(特に小麦・砂糖)を控える
2,タンパク質とビタミンDで壁を修復する
3,夜はしっかり腸を休ませる(12時間断食)
まずは明日の朝食から、パンをやめて
「納豆ご飯と味噌汁」
に変えてみませんか?
たったそれだけのことで、あなたの腸は確実に生まれ変わり始めます。
腸が元気になれば、脳も体も驚くほど軽くなるはずです。
当クリニックでは、腸内環境を詳しく調べる検査や採血による栄養療法も行っております。
長引く不調にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。