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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年12月29日
こんにちは、平島です。
12月23日に新著の
「腸疲労」
が発売になりました!
身体の疲れや不調は腸の疲労からくる
ということを腸内環境の改善などを中心に28日間で改善していくという内容
です。
是非、読んで頂けるとうれしいです。

皆さんは
「いつまでも若々しく、病気をせずに過ごしたい」
と思いませんか?
今日は、私たちのクリニックでも提唱している
「細胞レベルで強くなる(細胞的にモテる)」
ための、免疫力アップの秘訣についてお話しします。
結論から言いますと、免疫を劇的に上げ、がんや感染症を予防するために必要なのは、
「1日1兆個の乳酸菌」
と
「1日4000IUのビタミンD」
が最強のタッグです。
なぜこの2つなのか? そして、なぜこれほどの量が必要なのか?
まず知っておいてもらいたいのが、腸が単なる消化器官ではないということです。
実は、
全身の免疫細胞の約70%
が腸に集中しています。
小腸には「パイエル板」という免疫のトレーニングセンターのような場所があり、
ここでウイルスや細菌に対する防御体制が整えられます。
つまり、
腸内環境を整えることは、そのまま全身の免疫力を高めることに直結する
のです。
「乳酸菌が体に良い」
というのは常識ですが、強調したいのは
その「数」
です。
ヒトの腸内には、
およそ38兆個もの腸内細菌
が生息しています。
この巨大な「微生物の海」に対して、たった数億個の菌を入れたところで、残念ながらほとんど影響を与えることはできません。
腸内環境に有意な影響を与え、小腸にある免疫スイッチ(パイエル板)をしっかりと押すためには、
「1日1兆個」
というスケールで乳酸菌を投入する必要があります。
「ヨーグルトで摂ればいいのでは?」
と思うかもしれませんが、市販のヨーグルト1個に含まれる乳酸菌は
数十億〜100億個程度
1兆個を摂るには毎日100〜1000個のヨーグルトを食べる計算になり、現実的ではありません。
だからこそ、効率的に数を稼げるサプリメントの活用が必要なのです。
ここで重要なのは、
乳酸菌は「生きて腸に届く」必要はありません
むしろ、
1兆個という大量の菌を摂取する場合、培養して加熱処理した「死菌」の方が都合が良いのです。
生きた菌にこだわると数が少なくなってしまいますが、死菌であれば高濃度に凝縮できます。
研究により、
死菌であっても腸管の免疫細胞を刺激し、十分に効果があること
が分かっています。
死菌が腸の免疫スイッチを連打することで、私たちの免疫部隊は活性化されるのです。
乳酸菌が「腸からの免疫底上げ」担当だとすれば、
ビタミンDは
「全身の免疫司令塔」
です。
ビタミンDは単なるビタミンではなく、
ホルモンのように働き、
全身の細胞にある
「ビタミンD受容体(VDR)」
に作用します。
特に
マクロファージやT細胞といった免疫細胞に直接働きかけ、ウイルスや細菌を攻撃するスイッチを入れる役割
を担っています。
さらに最新の研究では、
ビタミンDには細胞の老化(テロメアの短縮)を防ぐ効果
も報告されています。
ある臨床試験では、
ビタミンDサプリメントを1日2,000 IU摂取したグループにおいて、細胞の寿命に関わる「テロメア」の短縮が有意に抑制された
という結果が出ています。
これはつまり、
ビタミンDが老化やがんなどの病気を防ぎ、「細胞的に若々しい状態」
を保つ鍵であることを示唆しています。
この2つの併用を強く勧める理由は、
これらが全く違う系統(アプローチ)で免疫を上げるから
です。
★ビタミンD:全身の免疫細胞のパフォーマンスを最大化する「司令塔」
★乳酸菌:腸のパイエル板を刺激し、免疫細胞を鍛える「トレーナー」
この2つは互いに補完関係にあります。
乳酸菌で腸内フローラを整え、免疫が働きやすい環境を作った上で、ビタミンDが免疫システム全体を統率する。
これこそが強い免疫システムを作る最強の組み合わせなのです。
腸内環境の改善は長期戦です。最低でも3ヶ月以上継続することで、腸内フローラは変わり始めます。
1日1兆個の乳酸菌と1日4000IUのビタミンDの摂取を習慣化することは、
無駄な感染症やアレルギー、そして究極的にはがんや生活習慣病を予防する
「究極の予防法」
と言えます。
食事だけでは補いきれない部分は、賢くサプリメントを利用して、ぜひ「細胞レベル」で健康な体を手に入れてください。
さあいよいよ、年末年始を迎えますが、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。