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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年05月18日
こんにちは。副院長の東です。
GWも終わり、日常の生活リズムにきちんと戻せていますか?
起床から睡眠までの1日の生活リズムは整っていますか?
日常のルーティンは大事ですので、もう一度見直しましょう。
薬剤性下痢症
日常消化器病診療の中で、胃痛、胃酸逆流と共に便秘と下痢は多く見られます。
下痢とは、水分量の多い、液状または液状に近い便が頻繁に排出される状態を指します。
急性下痢症としては、細菌やウイルスによる感染症が多くを占めますが、
食事や飲酒による消化不良も多く見受けられます。
一方で、1か月以上続く下痢を慢性下痢症と呼びます。
過敏性腸症候群、薬が原因となる薬剤性下痢症、炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病、進行大腸がんでも起こしてきます。
薬剤性下痢症とは、治療目的で投与される薬剤によって予想外に引き起こされる下痢の事です。
✓ 抗がん剤
✓ 抗生剤
✓ 胃薬(PPI)
✓ 降圧薬
などが挙げられますが、どんな薬剤でも起こる可能性があります。
胃薬の中でプロトンポンプ阻害剤による下痢には、collagenous colitisがあります。
内視鏡検査では肉眼的に異常が見られず、顕微鏡下で観察して初めて診断される疾患です。
病理組織学的に大腸粘膜下に特徴的なコラーゲンバンドの肥厚が認められます。
特にランソプラゾールでの発症が多いと考えられていて、薬剤開始後1~2ヶ月程度経過して発現することがあります。
また、降圧薬によるものとして、2012年に重症下痢症の報告がされました。
アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬の一つにオルメサルタンがあります。
下痢を発症した患者のほとんどが40mg/日のオルメサルタンを下痢発症前数ヵ月~数年ほど内服していました。
こちらも病理組織学的に小腸絨毛の萎縮がおき、吸収障害から慢性下痢に至ることが分かりました。
同じ薬剤下痢症でも、発症までの内服期間が異なるのは興味深いところです。
日常生活上で起こる下痢で短時間ですぐに治まるときや繰り返さい場合は、経過観察で問題のないことがほとんどです。
しかし、下痢がいつまでも続き良くならないようなとき、血便を混じるような時は一度医療機関への受診を検討したほうが良いでしょう。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。