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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年06月08日
こんにちは。副院長の東です。
何となく雨が降る日が続いています。
このじめじめした季節、寒いのか暑いのかわからない時があります。
羽織るもの一枚用意して体調管理していきましょう。
ピロリ菌感染の内視鏡所見
胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ感染症ですが、これは遺伝ではありません。
感染症ですので、5歳までの幼少時期に感染する機会があって持続感染しているかがポイントです。
もちろん遺伝的胃癌(CDH1遺伝子異常)もありますが、かなり稀なので今回は触れません。
Q. ピロリ菌感染は内視鏡で分かりますか?
A. 分かります。しかしピロリ菌が見えるわけではなく、ピロリ菌感染胃粘膜が萎縮性胃炎として認識できます。
ピロリ菌は、内視鏡での生検検査した胃粘膜組織をギムザ染色という特殊染色を行い顕微鏡下で診断できます。
内視鏡画面からはピロリ菌自体は見えないのです。
それでは、内視鏡医はどうやって判断しているか??
ピロリ菌未感染の胃の所見、ピロリ菌感染の胃の所見から、感染している確率を判断しています。
まず、ピロリ菌未感染の胃ですが、一言でいうと粘膜がきれいです。
粘膜に厚みがあり、粘膜ひだが綺麗に認められます。
内視鏡検査での所見として、専門用語で表層性胃炎、胃底腺ポリープ、ヘマチン、RAC陽性となります。
一方で、ピロリ菌感染の胃ですが、荒れています。
粘膜が薄くなり(萎縮)、粘膜ひだが消失、粘膜下の血管模様がよく見えます。
全体的に発赤していて、べたっとした粘液が多いもの特徴です。
内視鏡検査での所見として、萎縮性胃炎、広い範囲の点状発赤が認められます。
これらの所見から、陽性なのか陰性なのかが判断できる場合もあれば、
所見が混在していて疑わしいときもあります。
その場合は、追加のピロリ菌を調べる各種検査によって総合的に判断していきます。
重要なポイントです。
内視鏡診断でピロリ菌感染しているか、していないかはある程度判断できます。
しかし、今感染が持続しているかどうかは別の検査が必須なのです。
血中・尿中ピロリ抗体、迅速ウレアーゼ試験、尿素呼気試験、便中ピロリ抗原、病理検鏡によるギムザ染色があります。
健診で胃内視鏡検査を受けているが、ピロリ菌の感染の事は言われたことがない方が多くいます。
ぜひ、検査をした先生に直接聞いてみてください。
内視鏡専門医であれば、おそらく・・・と説明してくれるはずです。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。