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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年10月26日
こんにちは。副院長の東です。
今週は雨が続いていました。
肌寒い日々で、インフルエンザの感染者も増えてきています。
まだ秋なのですが、寒さを感じないように暖かい服装を意識しましょう。
ピロリ菌感染の国際的コンセンサス

台湾の台北で行われた「Taipei Global Consensus II」において、ピロリ菌感染の検査・除菌による
胃がん予防戦略に関する国際的な合意文書が公表されました。
12ヵ国・地域(台湾、中国、香港、韓国、日本、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ドイツ、フランス、オーストラリア、米国)の32人の専門家がGRADEシステムを用いてエビデンスを評価し、80%以上の合意が得られました。
ピロリ菌は胃がんの主要因であり、除菌により全年齢層で胃がんリスクが減少することが確認されました。
特に前がん病変(萎縮性胃炎・腸上皮化生など)が発症する前に除菌することで、最大のリスク低減効果が得られています。
また、ピロリ菌ん除菌は消化性潰瘍の治癒促進と再発予防、NSAIDs/アスピリン関連の潰瘍リスク低減にも有効でした。
感染経路は主に家庭内であり、家族全員を対象とした検査と治療が感染拡大防止と治療効果向上の両面で有効とされました。
家族単位での治療アプローチが重要とされました。
https://gut.bmj.com/content/74/11/1767.long
ピロリ菌感染に関する共通認識が定まったことになります。
検査法、治療法は各々の国において若干差の差はありますが、ほぼ共通です。
重要なのは全例で再検査による除菌確認が強く推奨されていることです。
除菌しましたが、その後検査していませんという事を無くしていかなければいけません。
そして、胃がんリスクが高い、または症状を有する感染者には内視鏡検査が推奨されています。
日本においては、症状があれば保険診療で胃内視鏡検査を受けることが出来ます。
ピロリ菌感染の有無の確認、そして胃がんの発生がないかの確認は非常に重要なわけです。
このコンセンサスは、成人のピロリ菌感染者全員に除菌を推奨しています。
80歳以上の高齢の方であれば、ご本人と相談して除菌するか決めていますが、やはり除菌治療は必須なのかもしれません。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。