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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年11月12日
たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は、「こうすれば胃がんがふせげるかも知れません」というお話です。
当院のメインの検査は、胃カメラと大腸カメラです。
胃カメラの目的は胃がんや食道がんの発見、大腸カメラの目的は大腸がんの発見です。
今回は、「胃がん」をメインにお話します。
まず、我が国の胃がんの罹患数と死亡数についてです。
胃がんは、罹患数で大腸がん、肺がんに続く第3位、
死亡数では、肺がん、大腸がん、膵臓がんに次ぐ第4位となっています。
(2024年のがん罹患、死亡数予測)
まだまだ多い胃がんですが皆さんは予防できるかもしれません。
では今回は胃がんの原因とその対処法をお伝えします。
胃がんの主な原因として、以下の点が挙げられます。
➀ピロリ菌感染
胃がんの最大原因とされているのが「ヘリコバクター・ピロリ菌」です。
この菌が胃に長期間存在すると、慢性胃炎を引き起こし、
それが進行すると胃の粘膜に変化が生じ、やがてがんへとつながることがあります。
慢性胃炎の時期が長いほど、そして慢性胃炎の変化が強いほどがんになる確率が
高くなります。
@ピロリ菌のいる胃(萎縮性胃炎)


②食生活の影響
塩分が多い食事、燻製、加工肉を多く食べる人は胃がんリスクが高まるという研究結果もあります。
塩分摂取が5g増えるごとに約8-12%リスクが上昇されるとされています。
反対に、野菜や果物を多く摂る食生活はリスクを下げます。
③喫煙
タバコに含まれる有害物質が胃粘膜を傷つけ、がんの発生を助長します。
喫煙は多くのがんのリスクを高めるため、禁煙は全身の健康にメリットがあります。
上記を踏まえて、どうすれば胃がんを予防できるのでしょうか。
対策は以下の通りです。
➀ピロリ菌検査と除菌治療
ピロリ菌が原因なのでピロリ菌をやっつけましょう。
健康診断や人間ドック、医療機関で簡単な検査を受けることができます。
ただし、保険適応となるのは胃カメラをして医師が「ヘリコバクターピロリ菌による
胃炎」を疑った場合です。
健康診断や人間ドックの検査は自費となります。
もし感染していた場合、薬による除菌治療でリスクを大きく下げることができます。
主に「胃酸を抑える薬」と「2種類の抗生物質」を1週間ほど飲む方法が一般的です。
飲み忘れなく、続けることで除菌率はあがります。
除菌後でも胃がん発生のリスクは多少残るため注意が必要です。
最近は、除菌する方が増えており、除菌後の胃がんの発生が増えています。
@除菌後胃がん

②バランスの良い食事を心がける
食塩を控えめにし、加工食品に偏らない食生活を意識しましょう。野菜・果物を多く取り入れることで、抗酸化作用が体を守ります。
③禁煙・節酒
タバコは胃がんの大きな要因であるため、禁煙が非常に有効です。飲酒は適度に抑えることで胃への負担を減らせます。
④定期的な内視鏡検査(胃カメラ検査)
ピロリ菌の発見も胃がんの発見も早期発見が何より重要です。特に40歳以上の方や、家族に胃がんの既往がある方は、まず胃カメラ検査を受けましょう。
まとめ;
・ピロリ菌検査、ピロリ菌がいれば除菌治療
・食事の注意
・禁煙
以上がまずできる予防法です。
まだまだ日本では多い胃がんですが、このような方法で胃がんを減らしていきましょう。
この情報を踏まえて、行動し、家族や知人にも知識を共有しましょう。
*スキルス胃がんは胃の壁の中に拡がっていくタイプの胃がんです。
一般的な胃がんと異なります。
確立された予防法はありませんが、一般的な胃がんと同様の対策で少しは予防できます。
まずは胃カメラ検査でスキルス胃がんの有無を確認して、もしなったとしても定期検査で早期発見を目指しましょう。
@スキルス胃がん

この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。