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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年11月23日
こんにちは。副院長の東です。
11月ですが、今年は寒いので冬用のコートを準備しました。
木々は紅葉していますが、それ以上に寒さを感じます。
もうすぐ師走です。
腸内細菌と睡眠の関係

腸には3つの働きがあります。
① 消化吸収、蠕動運動
② 免疫機能
➂ バリア機能
①の消化吸収に関しては、食べた物の中で必要な成分は体に吸収し、必要でない成分は便として排出します。
小腸では主に栄養素の消化と吸収が行われていて、大腸では水分と一部のミネラルの吸収が行われます。
②の免疫機能に関しては、病原体の感染を防いだり、感染してしまった場合の重症化を抑制するための機能です。
体内に取り入れて良いものとまずいものを区別する必要があります。そこで免疫が働きます。
腸管の中で免疫を司る機能に当たるのが、小腸にある「パイエル板」という免疫装置です。
免疫細胞が集まっていて、病原体を攻撃したり抗体を作って守ったりします。
➂のバリア機能に関しては、粘液が関係しています。
腸の表面は杯細胞という細胞から分泌される粘液により、ネバネバとした粘液層で覆われています。
消化管は口から直腸までこの粘膜が非常に多いのは、粘液を産生するためです。
体内への異物の侵入を防ぐ仕組みが腸のバリア機能であり、バリア機能が破綻した状態を、腸もれ(リーキーガット)と呼ぶのです。
腸内細菌と睡眠の関係について知っていますか?
睡眠不足の人は腸内細菌のバランスが崩れているということが分かってきています。
健康に必要不可欠な睡眠が、大腸内に生息している腸内細菌にも影響しているのです。
これは、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸が関連しています。
短鎖脂肪酸に該としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3つが代表です。
食品中の短鎖脂肪酸は大半が大腸まで届くことができません。
実は大腸内の短鎖脂肪酸は、腸内細菌の発酵によって作られているのです。
1日の体の機能とリズムを調節しているのが体内時計と呼ばれています。
短鎖脂肪酸の一つである、酪酸が十分に体内に存在していると規則的な体内時計が維持されると報告されています。
短鎖脂肪酸を作り出すことは適切な体内時計を維持し、良い睡眠と関連していくのです。
この短鎖脂肪酸を作るためにはどうしたら良いでしょうか?
腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂取することに尽きます。
✓ 穀類(オーツ麦、玄米、大麦、全粒小麦)
✓ 果物類(キウイ、みかん、プルーン)
✓ 豆類(大豆、あずき、ひよこ豆)
✓ 根菜類(ごぼう)
✓ 海草類
食事バランス(たんぱく質、脂質、炭水化物)を意識して、そして食物繊維を加えましょう。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。