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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年12月10日

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は、「がんの告知」についてのお話です。
がん告知とは何らかの「がん」が見つかった場合に、医師から患者に病名などを伝えることです。
検査を受けていただいた結果、胃カメラや大腸カメラ、腹部エコーなどで「がんの可能性が高い病変もしくはがんが確定した病変」が見つかった場合、私たち医師はできる限り正確に、そして患者さんの心に強い負担を与えないよう配慮しながら説明することを心がけています。
告知の瞬間は、患者さんにとって人生の大きな節目です。
どれほど冷静に聞こうとしても、動揺しない人はいません。
だからこそ私たちは、「事実」と「これから取るべき対策」を整理して示し、混乱の中でも次の一歩を踏み出せるよう支えていきます。
告知時にまず行うのは、
どの検査で・何が・どのように見つかったか を丁寧に伝えることです。
画像を示しながら「自分の身体で何が起きているのか」を理解していただくことを重視しています。
理解が不十分なまま不安だけが膨らむ状況は、避けるべきだからです。
@胃の病変から生検して「胃がん」であることを告知 早期がんであり内視鏡治療可能な状態の可能性と説明

次に、必ずお伝えしたいのは、
「がんが見つかった=手遅れ」ではない という点です。
早期がんであれば内視鏡治療で完治できることも多く、進行がんでも手術・薬物療法・放射線治療を組み合わせることで、長期的に治療を続けられます。
医師としての役割は、
がんの種類・進行度・体力や持病を総合的に見極め、
最適な治療方針を提案すること です。
@早期大腸がんであるが、ガイドラインでは内視鏡治療できず、外科的手術が必要であることを説明

患者さんにお願いしたいのは、告知直後に焦って結論を出さないことです。
不安からネット検索をしすぎると、必要以上に恐怖を煽る情報が目に入ってしまいます。
質問は遠慮なくしていただいて構いません。
当院では手術はできないため、入院できる専門病院をご紹介します。
患者さん自身が納得し、主体的に治療を選ぶことが何より重要です。
受診した医療施設の治療方針に疑問がある場合は、セカンドオピニオンを受けていただいても大丈夫です。
告知後は精神的に最も不安定になりやすい時期です。
がんと聞くと「家族に心配をかけたくない」と、ひとりで抱え込む方も少なくありません。
可能であれば、信頼できるご家族や友人と一緒に話を聞いてください。
医師にとっても、ご家族と情報を共有しながら治療体制を整えることで、より安心して治療に臨めるサポートができます。
がんは早期発見・早期治療が非常に大切な病気です。
今回の検査で状態が明らかになったこと自体が、大きな前進です。
私たち医療者は、患者さんが安心して治療に向き合い、再び日常生活を取り戻せるよう全力でサポートします。
どうか一人で悩まず、疑問や不安はその都度お話しください。
あなたのこれからの治療と生活を、私たちは共に支えていきます。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。