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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年12月14日
こんにちは。副院長の東です。
週末は雪の可能性もありましたが、なんとか雨で持ちこたえていますね。
吐く息も白く気温がぐっと下がり、早朝は3~4℃になっています。
今年も残すところあと2週間です!
便潜血陽性になったら

健診や人間ドックで行われる大腸がん検診といえば便潜血検査があります。
便の表面を擦り、そこに血の成分があるかを判定する簡便な方法です。
便潜血陽性になったら、大腸内視鏡検査を受けるように勧められます。
なぜならば、大腸がんがあるかどうかを調べる必要があるからです。
便潜血陽性であった後、1-3カ月以内に大腸内視鏡検査を実施することが推奨されていますが、
このような短期間での実施は難しい場合が多くあります。
フランスからの研究ですが、便潜血陽性になってから内視鏡検査を受けるまでの期間と大腸がんのリスクを検討した報告があります。
2016年から2019年の間に便潜血陽性となり、その後24カ月以内に大腸内視鏡検査を実施した人を対象としています。
内視鏡検査までの期間が、2-3カ月の期間、3カ月超から24カ月までの間でのリスクを比較しました。
結果として、全体で374,113人の便潜血陽性者が、その後86.6%の人が大腸内視鏡検査を受け、
21,616件の大腸がんが見つかっています。
検査までの2-3カ月間隔群と比較して、3カ月-24カ月までの間隔では、大腸がんのリスク増加は観察されませんでした。
その中で、高濃度の便ヘモグロビン濃度(f-Hb 200ug/g以上)を有する人は、30-40µg/gの人と比較して、
大腸がんを有する可能性が8倍高いことがわかりました。
著者は、24か月までの間で検査を受ければ大腸がんのリスク増加は認められなかった。
便潜血陽性後の大腸内視鏡検査を受けることを確保すること、
ヘモグロビン濃度が高い人ほど、大腸内視鏡検査はより早く実施されるべきであると結論しています。
https://gut.bmj.com/content/early/2025/11/26/gutjnl-2025-336036.long
大腸がんの多くは発症に数年かかります。
ほとんどがポリープの隆起からがん化していくので、細胞増殖を繰り返し成長までには時間がかかります。
内視鏡診断技術が発達している日本ならでは、稀ですが、陥凹型で成長の早いがんもあります。
この研究で、便潜血陽性後に確実に内視鏡検査を受ければ、大腸がんのリスク増加はないと分かりました。
便潜血陽性になったら・・・
大腸内視鏡検査を受けてください。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。