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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2025年12月21日
こんにちは。副院長の東です。
12月もラストスパートですね。
今週1週間が終わると年末年始の期間に突入します。
今年の総括、来年の目標を設定しましう!
運動による消化器がんリスク低下

運動をすることが健康増進につながることは明白です。
実は、身体活動が消化器系がんを予防するというエビデンスが増えてきています。
運動強度を客観的に数値化した指標があるのを知っていますか?
厚生労働省やスポーツ庁は、生活習慣病予防のために推奨される身体活動量の目安としてMETs(メッツ)を用いています。
成人では3 METs以上の身体活動を週に23 METs・時以上といった目標が示されています。
METsは身体活動の強度を表す単位で、安静時(横になったり、座って楽にしている状態)を1として、何倍のエネルギーを消費するのかを表します。
このMETsには運動ではなく日常の生活活動もあるのです。
また、おおよその消費カロリーもMETsから計算することも可能で、
✓ 消費カロリー(kcal) = METs × 時間(時) × 体重(kg) × 1.05
となります。
詳しいMETs表は厚生労働省のHPに掲載されています。
https://kennet.mhlw.go.jp/tools/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/mets.pdf
米国から身体活動と消化器がんのリスクについての研究が報告されました。
身体活動と消化器がんのリスクおよび死亡率との関連を、至適な量、推奨レベル、長期的継続性について検討されました。
米国の231,067人の男女を最大32年間追跡されました。
追跡期間中に、合計6538件の消化器がん発症と3791件の消化器がん死亡が認められました。
より高い身体活動レベルは、低い運動レベルと比較すると、
低い消化器がんリスク(45MET・時/週以上 vs 3MET・時/週未満; ハザード比[HR], 0.83; 95%CI, 0.74-0.93; P < .001 )
死亡率(HR, 0.72; 95%CI, 0.62-0.83; P < .001)
と関連していました。
長期的継続性を考慮した場合に関しては、
中程度のレベル(中央値, 16.9MET [IQR, 13.6-20.5] ・時/週)で30年以上にわたり達成することが、消化器がんリスクの大幅な減少と関連していました(HR, 0.83; 95%CI, 0.75-0.90)。
結論では、
✓ 週あたり約50 MET・時が最適なDSCリスク低減
✓ 30年以上にわたり週あたり約17 MET・時の中程度のレベルを維持することが、DSCリスク低減を達成
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2840507#
運動やスポーツ不足は、がんだけではなく肥満や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクや死亡リスクを増大する可能性があります。
METsを参考にしながら、日常生活の中で動くことを強く意識して、スポーツを加えてみると良いと思います。
日々の家事、通勤、スポーツを持続的に行えるようにしましょう。
運動により消化器がんのリスク低下にもつながるのです。
この記事を書いた人
東 瑞智
医師
北里大学医学部を卒業。北里大学病院消化器内科学講師として、消化器がんの内視鏡診断・治療、抗がん剤治療だけでなく、難治性逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの消化器良性疾患の治療に従事。2020年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。北里大学医学部消化器内科学非常勤講師。