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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ

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食道がんはなぜ見つかりにくく、進行しやすい?

2026年01月14日

  • 副院長ブログ

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。

今回は、「食道がんについて」のお話です。

食道がんは「見つかりにくく、進行が早いがん」として知られています。

内視鏡技術が進歩した現在でも、発見が遅れるケースは少なくありません。

さらに、早期がんであっても転移のリスクがあり、内視鏡治療(ESD)が適応できる範囲は非常に限られています。

今回は、食道がんの特徴を説明します。

 

・食道がんが発見されにくい理由は?

答えは、【初期症状が出にくい】からです。

食道がんが見つかりにくい最大の理由は、初期症状がほとんどないことです。

食道は痛覚が乏しく、がんが発生しても違和感を自覚しにくい臓器です。

そのため、軽いしみる感じや胸の不快感があっても、加齢や一時的な体調不良として見過ごされがちです。

また、食道がんは隆起せず、平坦に広がる病変が多いという特徴があります。通常の内視鏡観察では判別が難しく、専門的な観察方法や画像強調、染色を行わなければ見逃されることもあります。

・食道がんは早期でも転移する可能性がある

一般的に「早期がん=転移しない」というイメージがありますが、食道がんでは当てはまりません。食道の壁は非常に薄く、粘膜のすぐ下に血管やリンパ管が密集しています。

そのため、がんが粘膜内にとどまっているように見えても、わずかに深く入り込むことで、リンパ節転移が起こる可能性があります。

特に粘膜下層に及んだ場合、転移リスクは大きく上昇します。この構造的な特徴が、食道がんが「早期でも油断できないがん」とされる理由です。

内視鏡治療(ESD)ができれば、完治可能ですが少しでもがんが深くなると命を落とす危険があります。

 

・食道がんにおける内視鏡治療(ESD)とは?

内視鏡治療の代表的な方法であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、身体への負担が少ない治療法として知られています。ESDは内視鏡の先端から特殊な電気メスを出し、病変周囲の粘膜を切開した後に粘膜下層で剥離します。高度の技術を要しますが、大きな病変でも正確に切除することができます。

食道がんにおいても有効な治療手段ですが、適応は非常に限定的です。

・なぜ食道がんではESDの適応が狭いのか?

ESDが適応となるのは、

  • がんが粘膜内にとどまっている
  • リンパ節転移の可能性が極めて低い
  • 病変の範囲・深さが厳密な条件を満たしている

といった場合に限られます。少しでも深達度深いと疑われる場合には、ESD後に追加治療が必要となる可能性があります。ESD適応外と判断された場合は、最初から手術や放射線治療が選択されることもあります。

さらに、食道は管腔が狭く壁が薄いため、ESD自体が高難度で、穿孔や治療後狭窄といった合併症リスクもあります。こうした点から、ESDの適応は慎重に判断されます。

 

・食道がんでは「早期発見の質」が重要

食道がんでは、単に早く見つけるだけでなく、がんの深さを正確に診断することが治療方針を大きく左右します。

そのため、リスクの高い方は、定期的な内視鏡検査だけでなく、食道がんの診断に慣れた医療機関での精査が重要です。

 

・まとめ;食道がんの特徴を知ることが治療選択につながる

食道がんは、発見が難しく、早期でも転移の可能性がある厳しい病気です。内視鏡治療という選択肢があっても、すべての早期がんに適応できるわけではありません。だからこそ、病気の特性を正しく知り、早めに専門的な胃カメラ検査を受けることが、治療の選択肢を広げる第一歩となります。

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この記事を書いた人

この記事を書いた人

久津川 誠

医師

国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。

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