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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2026年01月21日

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
「食後に右の脇腹やみぞおちが痛む」「健康診断で胆石があると言われた」
このようなお悩みを持つ方は少なくありません。
胆石は放置してよいものから、命に関わる重症な炎症を引き起こすものまで様々です。
今回は、日本人の約10人に1人が持っていると言われる「胆石」について、その正体や原因、治療法、そしてよく混同される「胆のうポリープ」との違いを詳しく解説します。
胆石とは、肝臓で作られる消化液「胆汁(たんじゅう)」の成分が、胆のう(たんのう)の中で固まって石のようになったものです。
胆石はその成分によって大きく3つの種類に分けられます。
* コレステロール胆石:最も多く、全体の約7割を占めます。胆汁中のコレステロールが過剰になり、結晶化することで発生します。
* 色素胆石(黒色石・石灰化石):胆汁の成分であるビリルビンが細菌感染などをきっかけに固まったものです。
* 混合石:上記が混ざり合ったものです。
@腹部エコーにて発見された胆石

現在、日本人の胆石保有率は約10%と言われており、10人に1人は胆石を持っている計算になります。
高齢化社会に伴い、その割合はさらに増加傾向にあります。
胆石になりやすい人の特徴として、英語では「5F」という言葉がよく使われます。
* Forty(40代):働き盛りの世代から増え始めます。
* Female(女性):女性ホルモンの影響で、男性よりも女性に多い傾向があります。
* Fatty(肥満):脂質の摂りすぎや肥満はコレステロール胆石の最大のリスクです。
* Fair(白人/色白):欧米人に多いことから来ています。
* Fecund(経産婦):妊娠・出産経験のある女性はリスクが高まります。
これらに加え、不規則な食事や急激なダイエット、糖尿病なども原因となります。
健康診断の超音波検査(エコー)で指摘される際、胆石と間違われやすいのが「胆のうポリープ」です。
・定義は?
胆石;胆汁成分が固まった「石」
胆のうポリープ;胆のうの壁にできた「できもの」
・ 動きは?
胆石: 体位を変えるとゴロゴロ動く
胆のうポリープ; 壁に固定されているため動かない
・痛みは ?
胆石: 激痛(胆石発作)を伴うことがある
胆のうポリープ:原則として無症状 |
・がん化のリスクは?
胆石: 石自体はがんにならないが長期の炎症ががんの原因になることもある
胆のうポリープ:10mmを超えるとがんの可能性を考慮
@腹部エコーで発見された胆のうポリープ

「もしかして胆石?」と思ったら、まずは消化器内科を受診しましょう。以下の検査が一般的です。
・ 腹部超音波(エコー)検査:最も有効で体への負担が少ない検査です。石の大きさや場所がすぐに分かります。
・ CT検査:石の硬さや、周囲の炎症の広がりを確認するのに適しています。
・ MRI(MRCP)検査:胆管の中に石が隠れていないかを詳しく調べる検査です。
結論から言うと、「症状がない(無症状性胆石)」場合は、経過観察で良いとされることがほとんどです。しかし、一度でも痛みが出た場合や、合併症のリスクがある場合は治療の対象となります。
① 外科的手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)
現在の標準的な治療法です。お腹に数カ所の小さな穴を開けて、胆のうごと石を取り除きます。傷跡が小さく、回復が早いのが特徴です。
② 内科的治療(溶解療法・衝撃波)
* 経口胆汁酸溶解療法:薬で石を溶かす方法ですが、溶ける石の種類が限られ、再発率も高いのが難点です。
* 体外衝撃波(ESWL):体の外から衝撃波を当てて石を砕く方法ですが、現在はあまり一般的ではありません。
【注意!】 胆石を放置して「胆のう炎」や「胆管炎」を起こすと、高熱や黄疸が出て緊急手術が必要になるケースもあります。
胆石は、食生活や体質によって誰にでも起こりうる病気です。
「脂っこいものを食べた後に胃のあたりが痛む」といった症状がある方は、単なる胃痛と自己判断せず、早めに専門医へ相談しましょう。
また、健康診断で指摘を受けた方も、定期的なエコー検査を受けることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。