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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2026年04月01日

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です
今回は、「胃薬で胃のポリープが増大?」というお話です。
プロトンポンプインヒビター(PPI)と胃底腺ポリープの関係についてお話します。
胃カメラ検査で「ポリープが増えました」と患者さんに伝えることが時々あります。
日々の診療の中で、「胃薬を飲んでいたらポリープが増えたと言われたのですが大丈夫でしょうか?」という相談を受けることもあります。
特に、逆流性食道炎などでプロトンポンプインヒビター(PPI)と呼ばれる胃酸抑制薬を長期間服用している方の一部で、「多発胃底腺(いていせん)ポリープ」を認めます。
「胃底腺ポリープとは?がん化のリスクはあるのか?」ということもよく聞かれます。
まず、胃底腺ポリープとは何かについて説明します。
これは胃の上部(胃底部)にできるポリープで、以下のような特徴があります。
・良性である: がん化のリスクは非常に低いとされています。
・無症状: 内視鏡検査(胃カメラ)で偶然見つかることが多く、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
・ピロリ菌未感染: むしろピロリ菌がいない「きれいな胃」にできやすい傾向があります。
@通常の胃底腺ポリープ(多く見えるかも知れませんが、平均よりやや多い程度です)

なぜ胃薬(PPI)を服用すると胃底腺ポリープが増大・多発するのか?
PPIは胃酸の分泌を抑える薬で、逆流性食道炎や十二指腸潰瘍、胃潰瘍の治療に広く使われています。
胃酸が長期間抑制されると、胃酸を出そうとしてガストリンというホルモンを分泌が増加します。このガストリンの増加により、結果として胃底腺ポリープが増えたり、大きくなったりすると考えられています。
@PPIによって増大した胃底腺ポリープ

ここで重要なのは、「ポリープが増えたからといって、すぐに危険というわけではない」という点です。
PPIの服用に関連してできる胃底腺ポリープは、基本的に良性です。
薬の影響で数が増えたりサイズが大きくなったりしても、性質そのものが悪性に変わる(がんに進行する)可能性は極めて低いとされています。
そのため、多くの場合、定期的な経過観察のみで問題ありません。
胃底腺ポリープそのものに対して、切除などの特別な治療が必要になることはまれです。
一方で、原因と考えられるPPIの使用については、以下のような検討が行われることがあります。
* 症状が落ち着いている場合の減量や中止
* 他の種類の胃薬(H2ブロッカーなど)への変更
ただし、自己判断での服用中断は非常に危険です。
治療中の胃潰瘍や逆流性食道炎が再発・悪化する恐れがあるため、必ず主治医と相談してください。
基本的には良性ですが、内視鏡で観察した際に以下のような所見がある場合は注意が必要です。
* ポリープの形が著しく不整である
* 表面の色調に異常がある
* 典型的な胃底腺ポリープとは異なる特徴がある
上記の場合には、がんの可能性を除外するために生検(組織を一部採取して調べる検査)を行うこともあります。
「必要な薬は正しく使うことが大切」です。
PPIは非常に有効で安全性の高い薬ですが、長期使用にはメリットとデメリットの両面があります。定期的に胃カメラ検査を受け、医師とコミュニケーションを取りながら、自分にとって最適な治療を続けていきましょう。
気になることがあれば、不安を抱え込まず、お気軽に医師にご相談ください。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。