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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2026年10月05日
こんにちは、平島です。
だいぶ涼しくなってきたので、朝のランがしやすくなってきました。
ホノルルトライアスロン2027の飛行機もホテルも食事場所も予約が完了しましたので、あとは空港からホテルまでバイクを運ぶレンタカーを借りるだけ。
準備は万端です。

さて、1日に多くの患者さんの胃カメラをさせていただいていますが、最近はピロリ菌についてご質問をいただくことがとても増えました。
当院では胃カメラの際に、ピロリ菌の有無を必ずご説明するようにしています。
診察室でいちばん多いのが、この一言です。
「先生、ピロリ菌を除菌したので、もう胃がんの心配はないですよね?」
今日はこのご質問に、正面からお答えしたいと思います。
★ピロリ菌と胃がん、ここまでは確かな話
ピロリ菌は、胃の粘膜に住みつく細菌です。
感染が続くと慢性的な炎症が起こり、胃の粘膜がだんだん薄くなる
「萎縮性胃炎」
に進みます。
この萎縮した粘膜こそが、胃がんが生まれやすい土壌です。
日本では2013年に、慢性胃炎に対する除菌治療が保険適用になりました。
ここから除菌を受ける方が一気に増えました。
除菌によって胃がんの発生リスクが下がることは、人を対象とした複数の研究で示されており、現在では確立した知見と考えてよいと思います。
Fukase K, et al, “Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an open-label, randomised controlled trial” Lancet. 2008;372(9636):392-397.(早期胃がん内視鏡治療後の方を対象とした人でのランダム化比較試験)
ただし、この研究が示したのは「リスクが下がる」であって、「ゼロになる」ではありません。
ここが、いちばん誤解されているところです。
★除菌しても胃カメラを卒業できない理由
理由はシンプルで、除菌はピロリ菌を消しても、すでに傷んだ粘膜まで元に戻してくれるわけではないからです。
長年の炎症で萎縮が進み、胃の粘膜が腸の粘膜のような姿に変わってしまうことがあります。
これを「腸上皮化生」と呼びます。
この変化は、除菌をしても基本的には残ります。
つまり、がんが生まれやすい土壌はそのまま残っているということです。
実際、除菌から5年、10年経ってから胃がんが見つかる方がいらっしゃいます。
しかも除菌後の胃がんは、炎症が落ち着いた分だけ見た目が目立ちにくく、形がはっきりしないことがあります。
内視鏡をする側としては、むしろ気を引き締めて見るべき胃なのです。
★塩分と喫煙は、ピロリ菌と「掛け算」になる
もうひとつお伝えしたいのが、生活習慣との組み合わせです。
塩辛いものを食べ続けると胃の粘膜が荒れ、ピロリ菌による炎症を後押しすることが、日本人を対象とした観察研究で示されています。
タバコも胃がんのリスク要因としてよく知られています。
除菌という「引き算」をしたなら、塩分と喫煙という「足し算」も一緒に減らしたいところです。
★今日からできること
・漬物、塩辛、インスタント麺のスープは残す。
味噌汁は具だくさんにして汁を少なめに。
・喫煙している方は、まずは本数から減らす。
・胃の粘膜を守るために、たんぱく質をしっかり。
朝の納豆卵かけごはんは、私も続けています。
・胃薬を何年も漫然と飲み続けていないか、一度見直す。
・そして、除菌した方こそ年1回の胃カメラを。
ピロリ菌の除菌は、胃がん対策としてとても大きな一歩です。
ですがそれは「スタート」であって「ゴール」ではありません。
除菌と定期的な胃カメラ、この両輪がそろって初めて意味を持つと、私は考えています。
40歳を過ぎた方、ご家族に胃がんの方がいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
では、今週も頑張っていきましょう!
この記事を書いた人
平島 徹朗
医師
国立佐賀大学医学部 卒業。 大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、 多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。