gototop

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ

Clinic Blog

メインビジュアル

PTPシート 誤飲に要注意

2026年07月02日

  • 副院長ブログ

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
皆さんは「PTPシート」という言葉を聞いたことがありますか?
名前だけ聞くとピンとこないかもしれませんが、
実は誰もが毎日と言っていいほど目にしているものです。
今回は、医療現場でしばしば問題になる「PTPシートの誤飲(誤って飲み込んでしまうこと)」について、
その危険性と万が一の対応をお話しします。

➀「PTPシート」とは?
PTPシートとは、お薬の錠剤やカプセルがプラスチックのくぼみに入っていて、
裏側のアルミ箔を指で押し出して取り出すタイプの包装のことです(Press Through Packageの略)。
お薬の品質を保ち、持ち運びにも便利な優れた包装です。
実はこのシートを「薬ごと丸ごと飲み込んでしまう」という事故が、
高齢の方を中心に、若い世代でも跡を絶ちません。
なぜそんなことが起きるのでしょうか?
主な原因には次のようなものがあります。
・1錠ずつハサミで切り離していた(小さくなって見えにくくなり、そのまま口へ)
・他のことをしながら、うっかり飲んでしまった(テレビを見ながら、会話をしながらなど)
・視力の低下や、寝ぼけていて気づかなかった

「まさかそんなもの飲み込むわけがない」と思うかもしれませんが、日常のちょっとした隙に誰もが起こし得る身近な事故なのです。

②飲み込んでしまうとどうなる?
「プラスチックやアルミなら、そのうち便と一緒に出てくるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、PTPシートの誤飲は「命に関わることもある非常に危険な状態」です。
切り離されたPTPシートの角は、みなさんが想像する以上に鋭利に尖っています。

これが体内に入ると、以下のような恐ろしいトラブルを引き起こします。
1. 食道や胃の壁を突き刺す・傷つける
もっとも多いのが、喉を通り過ぎた先の「食道」で引っかかるケースです。
尖った角が食道の粘膜に深く突き刺さり、激しい痛みや出血を引き起こします。

@上部食道に突き刺さったPTPシート

2. 消化管に「穴」があく(穿孔:せんこう)
シートが体内の壁を突き破ってしまうと、そこから細菌や消化液が漏れ出し、
縦隔炎(じゅうかくえん)や腹膜炎という重篤な感染症を起こします。
これらは一刻を争う命の危機につながります。
3. レントゲンに写りにくい
PTPシートの多くはプラスチック製であるため、通常のレントゲン検査でははっきりと写らないことがあります。
そのため、本人の自覚がないと発見が遅れる原因になります。

@PTPシートを飲んだかわからないが、薬を飲んだ時に食道付近の痛みがあり受診
胃内にPTPシートを発見

③治療は「緊急内視鏡」が基本
もしPTPシートを誤飲してしまった場合、あるいは「飲んでしまったかもしれない」と強く疑う場合は、すぐに医療機関を受診してください。
治療の基本は、胃カメラを使った「緊急内視鏡治療」です。
シートがまだ胃や食道にとどまっている間に、慎重に回収します。
内視鏡の先端につけた保護フードなどでシートの尖った角を覆い、食道や喉をこれ以上傷つけないようにしながら、ゆっくりと体外へ引っ張り出します。

④誤飲を防ぐための3つの約束
PTPシートの誤飲は、事前のちょっとした心がけで100%防ぐことができます。
ご自身はもちろん、ご家族を守るために次の3つを徹底してください。
【誤飲防止の3大原則】
1. シートは「1錠ずつ」に切り離さない
→現在のPTPシートは、誤飲防止のために縦・横どちらか一方向しか切り離せない(1錠バラバラにできない)工夫がされています。ハサミ等でそれ以上に小さく切るのは絶対にやめましょう。
2. お薬を飲む直前に、シートからすべて取り出す
→「飲む直前に出す」を習慣に。手元にシートが残っていないか、目でしっかり確認してください。
3. お薬を飲むときは「お薬だけに集中」する
→何かをしながらの「ながら飲み」は、うっかり誤飲の最大の引き金です。

お薬は病気を治すための大切なものですが、包装の扱い方を間違えると凶器になってしまいます。
「おかしいな」と思ったら、我慢せず、迷わずすぐに病院へ連絡してください。
皆さんが安全に、安心して治療を続けられるよう診療します。

3分でわかる!苦しくなく痛みに配慮した内視鏡検査(胃カメラ)の特徴
癌にならない腸活 実践メルマガ講座 ヨーグルト 内視鏡チャンネル オウンドメディア

この記事を書いた人

この記事を書いた人

久津川 誠

医師

国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。

アーカイブ