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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2026年09月02日

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
「先生、コーヒーって身体に良いんですか?」
診察室でも時々聞かれる質問です。
毎朝コーヒーを飲むという方も多いでしょう。
一方で、
「カフェインは身体に悪そう」
「血圧が上がるのでは?」
「胃に悪いのでは?」と心配している方もいらっしゃいます。
では結局、コーヒーは身体に良いのでしょうか。それとも悪いのでしょうか。
今回は、これまでに報告されている研究をもとに、コーヒーと健康についてお話しします。
現在までの研究を総合すると、健康な成人が適量のコーヒーを飲むことについて、
必要以上に心配する必要はなさそうです。
むしろ、多くの研究でコーヒーを飲む習慣がある人のほうが、
さまざまな病気や死亡のリスクが低いことが報告されています。
医学誌『BMJ』に発表された研究では、コーヒーと健康について調べた多数の研究をまとめて解析しています。
その結果、コーヒーをまったく飲まない人と比較して、
1日3~4杯程度飲む人では、全死亡リスクが約17%、心血管疾患による死亡リスクが約19%低いという結果でした。
また、コーヒー摂取は2型糖尿病、肝臓病、一部のがんなどのリスク低下とも関連していました。
ただし、ここで注意していただきたいことがあります。
こうした研究の多くは「コーヒーを飲んでいる人を長期間観察した研究」です。
つまり、コーヒーを飲めば病気を予防できると証明されたわけではありません。
「健康のために今日から無理にコーヒーを3杯飲みましょう」という話ではないのです。
コーヒーというと「カフェイン」というイメージが強いと思います。
しかし、コーヒーにはカフェイン以外にも、クロロゲン酸をはじめとしたさまざまな成分が含まれています。
こうした成分には抗酸化作用などがあり、コーヒーと糖尿病、心血管疾患、肝疾患などとの関連について多くの研究が行われています。
興味深いことに、カフェインを減らしたデカフェコーヒーでも2型糖尿病のリスク低下との関連が報告されています。
つまり、コーヒーの健康への作用を「カフェインだけ」で説明することはできないと考えられています。
ここが一番気になるところだと思います。
カフェインには覚醒作用があり、眠気を減らしたり集中力を高めたりします。
一方で、摂りすぎると
動悸、手の震え、不安感、頭痛、胃の不快感、眠れない
といった症状が出ることがあります。
特に気をつけていただきたいのが睡眠です。
2023年に医学誌『New England Journal of Medicine』に発表された無作為化試験では、コーヒーを飲んだ日は飲まなかった日と比較して、夜の睡眠時間が平均で約36分短くなっていました。
「コーヒーを飲んでも普通に眠れるから大丈夫」と思っている方でも、知らないうちに睡眠時間や睡眠の質に影響している可能性があります。
夕方から夜にコーヒーを飲む習慣があり、寝つきが悪い、眠りが浅いという方は、一度午後からのカフェインを控えてみる価値があります。
カフェインで動悸を感じる方がいるため、「コーヒーは心臓に悪い」と思われることがあります。
心室性期外収縮は増加する可能性があります。
そのため、「不整脈がある人は全員コーヒー禁止」ということではありませんが、コーヒーを飲むと明らかに動悸がするという方は量を減らしたほうがよいでしょう。
「では1日何杯までなら大丈夫?」と思いますよね。
大切なのは、コーヒーの「杯数」よりもカフェインの量です。
コーヒーは豆の種類、抽出方法、カップの大きさによってカフェイン量がかなり変わります。
また、カフェインはコーヒーだけではなく、緑茶、紅茶、エナジードリンク、チョコレートなどにも含まれています。
そのため、コーヒーだけでなく、1日に摂取するカフェイン全体を考える必要があります。
健康な人なら400㎎程度なら大丈夫です。コーヒーだけなら2,3杯です。
現在の医学研究をまとめると、
適量のコーヒーは多くの人にとって安全であり、むしろ健康に良い可能性があると考えてよさそうです。
ただし、コーヒーは薬ではありません。
「身体に良いらしいから」と無理して飲む必要もありませんし、
たくさん飲めば飲むほど健康になるわけでもありません。
コーヒーを飲んで動悸がする、胃が不快になる、眠れなくなるという方は、
無理をせず量を減らしたり、デカフェに変更したりするのがおすすめです。
反対に、毎日1~3杯程度のコーヒーを楽しんでいて特に体調に問題がない方は、
過度にカフェインを怖がる必要はありません。
「身体に良いから飲む」のではなく、「好きだから楽しむ。その結果、健康にも少しプラスかもしれない」。
コーヒーはそのくらい軽い気持ちで楽しみましょう。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。