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たまプラーザ南口胃腸内科クリニックブログ
Clinic Blog
2026年10月28日

たまプラーザ南口胃腸内科クリニックの久津川です。
今回は「貧血」についてのお話です。
健康診断や人間ドックで「貧血があります」と指摘されたことはありませんか?
貧血と聞くと、「鉄分が足りないのかな?」「食事に気をつければ治るだろう」と考える方も多いと思います。
しかし、消化器内科医として知っておいていただきたいことがあります。
それは、貧血の原因として、胃がんや大腸がんなどの病気が隠れている場合があるということです。
特に成人男性や閉経後の女性に貧血が見つかった場合には、注意が必要です。
貧血とは、血液中のヘモグロビンという物質が少なくなった状態です。
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割があり、不足すると疲れやすい、息切れ、動悸、めまいなどの症状が現れることがあります。
ただし、貧血がゆっくり進行した場合には、体が慣れてしまい、ほとんど自覚症状がないこともあります。
つまり、「元気だから貧血は大丈夫」とは限らないのです。
胃がんや大腸がんでは、がんの表面から少しずつ出血することがあります。
大量に出血すれば吐血や血便などの症状が現れますが、実際には目に見えないほど少量の出血が長期間続くこともあります。
その結果、体内の鉄分が徐々に失われ、「鉄欠乏性貧血」という状態になります。
患者さんの中には、
「血便なんて一度も出たことがありません」
とおっしゃる方もいます。
しかし、便に血が混じっていることに気づかなくても、消化管から出血している場合があるのです。
特に大腸の奥にある右側結腸のがんでは、目に見える血便や便通異常がなく、貧血をきっかけに発見されることがあります。
女性の場合、月経による出血が鉄欠乏性貧血の原因になることがあります。
一方、成人男性や閉経後の女性では、通常、体内から大量の鉄分が失われる機会は多くありません。
そのため、鉄欠乏性貧血が見つかった場合には、胃や大腸からの慢性的な出血がないかを考える必要があります。
もちろん、貧血の原因がすべてがんというわけではありません。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、痔などでも出血することがありますし、鉄分の摂取不足や吸収障害などが原因になることもあります。
しかし、「がんが隠れていないか」を確認することは非常に重要です。
・便潜血陰性の進行大腸がん 貧血で発見されました

ここも患者さんに知っていただきたいポイントです。
鉄欠乏性貧血に対して鉄剤を内服すると、ヘモグロビンの数値が改善することがあります。
しかし、数値が改善したからといって、貧血の原因となった病気が治ったとは限りません。
例えば、大腸がんから少量の出血が続いていても、鉄剤によって一時的に貧血が改善することがあります。
つまり、「貧血が治ったこと」と「貧血の原因が解決したこと」は別なのです。
鉄剤を飲むだけでなく、なぜ鉄分が不足したのかを調べることが大切です。
まずは血液検査で、貧血の程度や種類を確認します。
ヘモグロビンだけでなく、フェリチンなどを測定し、鉄欠乏があるかどうかを調べることも重要です。
そのうえで、年齢、性別、症状、過去の検査歴などを考慮し、必要に応じて胃カメラや大腸カメラを行います。
特に成人男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が確認された場合には、消化管の精査が重要になります。
なお、貧血には鉄欠乏以外にもさまざまな原因があり、すべての貧血で内視鏡検査が必要というわけではありません。
胃がんや大腸がんは、早期の段階ではほとんど症状がないことも珍しくありません。
そのため、健康診断で偶然見つかった貧血が、病気を発見する重要なきっかけになることがあります。
当院では、「がんで亡くなる人、苦しむ人を一人でも多く減らしたい」という思いで日々診療を行っています。
貧血を指摘された際には、単に鉄分を補うことだけを考えるのではなく、その原因にも目を向けていただきたいと思います。
特に成人男性や閉経後の女性の原因不明の鉄欠乏性貧血は、胃がん・大腸がんを見つける重要なサインかもしれません。
症状がなくても放置せず、医療機関で相談することをおすすめします。
この記事を書いた人
久津川 誠
医師
国立熊本大学医学部を卒業。 世界消化器内視鏡学会より国際的優良施設として認定されている昭和大学横浜市北部病院で、内視鏡検査に関する高精度な診断・治療、さらには痛みの少ない大腸内視鏡の挿入法などを研究。 2015年より、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック勤務。