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免疫を活性化!がんを予防にもつながる乳酸菌の力

  • がん
  • 腸内環境

日本人の罹患数1位、死亡数2位になった大腸がん。大腸がんの増加は、食生活の欧米化が進んだことが主な要因とされています。肉食が増えると腸内環境は悪化し、悪玉菌が増えやすくなる一方で善玉菌である乳酸菌などが減ってしまいます。腸内環境の悪化は免疫力の維持にも悪影響を与え、病気への抵抗力を下げてしまいます。

今回は大腸がん予防と、免疫活性化に重要な役割を果たしている乳酸菌について見ていきます。

がんから体を守る免疫の働きと腸管免疫

私たちは、病気の原因になるウイルスや細菌などに囲まれて日々生活しています。それにも関わらず健康に過ごせている理由、それは人間の体に「免疫」という働きが備わっているからに他なりません。体に入った細菌やウイルスを異物として認識して攻撃する免疫は、私たちの体を外敵から守ってくれています。

さらに免疫は外敵だけでなく、体の中に発生したがん細胞からも体を守っています。正常な細胞の遺伝子が、タバコや食品に含まれる有害物質、紫外線や放射線などで傷つけられた結果、異常な細胞に変化し、時間をかけて増殖していきます。こうしてできていくのが、がんです。

がん細胞ができても、体の免疫機能がしっかり働いていれば、病気として発症する前にがん細胞を排除してくれます。一方で、がん細胞は生き残りをかけて常に性質を変化させながら、さまざまな方法で免疫の攻撃から逃れて増えようとしています。免疫の力に対してがんが優位になってしまうと、がん細胞は免疫の監視の目をくぐり抜けて、病気のがん発症につながってしまいます。

このように、がん予防のためにも免疫の力が大切ですが、免疫の働きを保つために近年注目されているのが「腸管免疫」、そして腸で免疫を活性化させる働きをする「乳酸菌」です。

乳酸菌が免疫活性のスイッチを押すしくみ

人の腸の中には、1000種類、100兆個もの細菌が生息していると言われています。腸内細菌は、体に良い働きをしてくれる「善玉菌」、体に悪い影響を与える「悪玉菌」、どちらにも属さない「日和見(ひよりみ)菌」の3つに大別され、善玉菌の代表格が「乳酸菌」と「ビフィズス菌」です。

胃の中で分解された食物は小腸に移動し、そこで栄養素として吸収されます。その際、体に有害な細菌やウイルスを取り込まないようにするため、小腸には多くの免疫細胞が集まっています。全身の60〜70%の免疫細胞が腸に集まっているといわれており、腸は最大の免疫器官と言っても過言ではありません。食べ物と一緒に入り込んでくる病原菌などさまざまな異物を排除するために発達した腸内の免疫。これを「腸管免疫」と言います。

そして、この小腸に多く生息するのが「乳酸菌」です。乳酸菌は「乳酸」という酸性の物質を作り、腸内を弱酸性に保つことで、酸に弱い悪玉菌を住みにくくする働きがあります。さらに近年、乳酸菌が免疫の働きを高める効果に注目が集まっています。菌の一つである乳酸菌は、小腸の免疫センサーにキャッチされ、免疫細胞を刺激して免疫活性化のスイッチを押す役割をしているのです。

大腸がんの増加には、欧米型食生活による腸内環境の悪化が関係

この20年で、日本人の大腸がんによる死亡数は1.5倍に拡大しましたが、これには食生活の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関連すると考えられています。高度経済成長期へと突入した昭和30年頃から、日本でも朝食はご飯食からパン食が増え、肉料理を頻繁に食べるようになりました。

こうした食生活は腸内の悪玉菌を増やし、腸内細菌叢(腸内フローラ)の状態を悪くしてしまうことが知られています。悪玉菌が増え、善玉菌である乳酸菌が減ってしまうことで、免疫機能も低下してしまい、病気への抵抗力が弱まったり、がん発症の危険性が高まったりする可能性が考えられます。

もともと日本人は乳酸菌が多く含まれる味噌、漬物、納豆などの発酵食品が身近でしたが、食生活が大きく変わってしまったことで、昔の人に比べ、食事からとる乳酸菌も減ってしまっている方が多いと考えられます。

がんに対抗できる免疫活性化には、腸内環境を整えることが先決

先に触れたように、乳酸菌には腸内で免疫を活性化させるスイッチを押す働きがあります。食生活の欧米化で摂取が減ってしまった乳酸菌を積極的にとることで、体の免疫機能を保ち、インフルエンザや新型コロナなどの感染症はもちろん、がん発症の予防につながることが期待できます。

例えば、マウスに殺菌酸乳(乳酸菌を7日以上培養して殺菌したもの)を投与するとがんの増殖が抑えることができ、さらに投与した菌の数が多いほど抑制効果が高まったという研究結果が報告されています。

また、乳酸菌が大腸がんのもととなる大腸ポリープを抑制したという研究結果もあります。大腸ポリープのある患者さんが乳酸菌生成エキス (大豆乳酸菌発酵エキス)を摂取したところ、乳酸菌生成エキスを摂取しなかった人に比べて、ポリープの消失や縮小が多く確認されました。

腸内の乳酸菌を増やして免疫力を高めるには

腸内の乳酸菌を増やして免疫力を高めるには、乳酸菌を含む食品や、善玉菌が増えやすい環境を作る食品を摂取することが効果的です。

1.乳酸菌を含む食品をとる

乳酸菌を含む代表的な食品は発酵食品です。ヨーグルトのほか、日本人にとって身近な発酵食品である味噌や納豆、漬物などを積極的に摂取することがおすすめです。

乳酸菌は「生きた乳酸菌」にこだわる必要はありません。小腸の免疫センサーが反応するのは、菌やウイルスそのものではなく、それらに共通する成分であることが分かっています。そのため、殺菌された乳酸菌でも免疫活性化に繋がります。

2.乳酸菌サプリメントをとる

免疫の働きを高めて病気を予防する目的では、乳酸菌が生きているか死んでいるかよりも、なるべく多くの菌をとって腸管免疫を刺激することが大切です。

日本では、厚生労働省によりヨーグルトの乳酸菌の含有量の基準が定められており、100gあたりに含まれる乳酸菌の数は約10億個です。ただし腸内の細菌数100兆個からすると、ヨーグルトでとれる菌数の影響は大きくありません。より多くの乳酸菌をヨーグルトなどの発酵食品だけでとろうとすると大変なため、乳酸菌の成分や乳酸菌分泌物が濃縮されたサプリメントを摂取するのもおすすめです。

3.善玉菌が増えやすい環境を作る食品をとる

腸内環境を良くして、乳酸菌の増殖を助ける食物繊維やオリゴ糖をとることも有効です。食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は、腸のぜん動運動を促進して便秘を改善する働きがあります。便が早く大腸を通過することは大腸がんの予防にもつながります。

水溶性食物繊維は胃腸内での消化吸収をゆるやかにし、食後血糖の急激な上昇を防いだり、大腸内で発酵して善玉菌を増やしたりする効果があります。

不溶性、水溶性いずれの食物繊維も精白していない穀類や野菜類、豆類、きのこ類、海藻や果物などに多く含まれます。

また、オリゴ糖は善玉菌の栄養源となることで腸内環境を整えます。

さいごに

今回は乳酸菌の免疫活性効果と、効果的に乳酸菌をとる方法についてお話しました。乳酸菌が人間の大腸がんを直接的に予防するかどうかについてはまだ研究段階ですが、乳酸菌が免疫力を高め、がんをはじめとした病気への抵抗力を高める体の土台作りに寄与することは間違いありません。

乳酸菌を含む食品や善玉菌が増えやすい環境を作る食品を普段の食事にうまく取り入れて、健康で長生きできる体を手に入れましょう。

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