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逆流性食道炎と診断されたら大事なのは食事療法

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逆流性食道炎の主な治療法は食事療法、理学療法、薬物療法の3つがありますが、もっとも大切なのは、食事療法です。

食事療法に関しては以前であれば、甘い、辛い、塩からい、酸っぱいなどの刺激物を控えることを重視した食事療法を勧めていましたが、近年では食事の量のコントロールを重視した治療法が一般的です。

今回は、逆流性食道炎と診断された場合の食事療法について解説します。

1. 逆流性食道炎とは

 喉に違和感を感じる高齢者

逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道側に逆流することを長期間繰り返し、胃と食道のつなぎ目に炎症が起きる病気です。健康な胃の場合でも何らかの原因で胃の内容物の逆流が起きる場合はありますが一時的なことがほとんどで、炎症にまで至らないことがほとんどです。

胃粘膜は胃酸が分泌しても、粘液に覆われているため炎症を起こしにくいですが、食道は、粘液の分泌がなく胃酸が長期的に触れると粘膜がただれてしまい炎症を起こしてしまうのです。成人の約10~20%が逆流性食道炎の自覚症状があるといわれ、中高年や高齢者に多くみられます。特に高齢者の割合が多い病気で、適切な治療を受けない場合は症状が悪化し日常生活の支障となるケースもあります。

逆流性食道炎の主な症状は下記のものです。

・胸が熱い
・胸が痛い
・喉のイガイガ感
・喉の違和感
・引っかかっている
・詰まる感じ
・口の中に酸っぱいものが込み上がる
・むせる
・食後に咳が出る

上記に挙げた症状は主なものですが、人によってさまざまな症状を併発しており多種多様なのが特徴です。

1-1. どうして逆流が起こる?

胃に食べ物が入ると、胃の入り口と食道の終わりにある下部食道括約筋という筋肉が緩みます。通常は、食べ物が下部食道括約筋を通過すると胃の入口である噴門部は閉まります。しかし、逆流性食道炎の場合はなんらかの原因で噴門部が緩んでいるため、胃の内容物が食道側へ長期的に何度も逆流を起こします。

胃は食べ物を1.5Lほどためられますが、食べ過ぎによって胃の容量を超え内容物が食道まで這い上がると逆流しやすくなります。逆流性食道炎と診断された方が多く悩まされている症状は、胃酸の逆流によって起こる、胸が焼けるような胸やけ、酸っぱいものが上がってくる違和感や、睡眠時に逆流が起こり眠れないというケースです。

1-2. 治療方法とは

逆流性食道炎と診断された場合の治療法は、下記の3つです。

・食事療法
・理学療法
・薬物療法

治療は、食事療法、理学療法、薬物療法という順番で行われますが、もっとも重要なのが食事療法です。以前の食事療法といえば、刺激物を避けることを重要視していましたが、近年の研究によって刺激物よりも食事量のコントロールが有効とされています。

2. 逆流を避けるための食事療法で大切なこと

シンプルな和食

逆流による辛い症状があっても、正しい食事療法を行えば逆流が起きにくくなる可能性があります。

食事療法で気をつけるポイントは、主に4つです。

2-1. 食事の量をコントロールする

逆流性食道炎では食事量のコントロールが大切で、1回の食事量を通常の食事量の7割~8割に減らすことが重要なポイントです。

胃は食べ物が入ってくるまでは縮んだ袋状であり、食べ物が入ると拡がり積み重なっていきます。そして、その食べ物の一番上に胃酸が分泌され、胃酸のフタができます。

食道までにたまるほどの食事を食べてしまうと、胃と食道のつなぎ目を超えたところ、つまり食道内に胃酸のフタができ、容易に胃酸逆流を来してしまいます。

刺激物を避けることも重要ですが、一番重要なのは食事の量を食べ過ぎないということです。

2-2. 刺激物を避ける

食べ物のにおいなどで「美味しそう」と脳が感じると、胃は食べ物を受け入れるために胃酸を分泌します。

中には胃酸が分泌されやすい食べ物もあり、特に刺激物とされているものです。

主な刺激物をまとめてみました。

・辛いもの
・酸っぱいもの
・しょっぱいもの
・油っこいもの
・甘いもの
・カフェインを多く含むもの
・炭酸飲料

上記に挙げたものは、特に胃酸が出やすいものです。刺激物をとり過ぎることで、胃酸が分泌されやすくなり、食道内に逆流したときに粘膜の炎症を起こす可能性があります。

2-3. 胃の消化に負担をかけない

食べ物をあまり噛まずに大きいまま飲み込んだり、タンパク質・脂肪分の多い食事をとったりすることは胃に負担をかけます。

胃は、口から食べ物が入ってきて最初に消化を行う臓器です。胃では、胃酸分泌とぜん動運動によって食べ物と胃酸が混ざり、お粥のような状態になるまで分解します。これは、次にある十二指腸や小腸が栄養素を吸収しやすい状態にするためです。

胃の消化を軽減することで、胃酸の分泌量も減ります。胃の負担を減らすには、食べ物をしっかり咀嚼し、食事時間は30分以上とりましょう。一口30回の咀嚼が目安です。

十分に咀嚼された食べ物なら胃酸の分泌量も減りますし、食べ物が胃から次の十二指腸へ送られるスピードも早くなるため、胃の中に食べ物が滞在する時間も少なくなります。

また、タンパク質や脂肪分をとりすぎないことも大切です。胃酸は、タンパク質を分解するのが主な働きなので、タンパク質が多く胃の中に入って来ると胃酸の分泌量が増えてしまうのです。それ以外にも脂肪分は、消化するのに時間がかかるため胃に留まりやすく、胃に負担をかけてしまいます。

2-4. 食事の時間に気をつける

逆流性食道炎と診断された場合は、食事時間にも注意が必要です。食事の時間を意識するだけで、症状の緩和も期待できます。

食事時間で気をつけたいことは下記の4つです。

・寝る直前に食事をしない
・食後の入浴は控える
・決まった時間に3食をとる
・アルコールのとり方を工夫する

具体的に一つひとつみていきましょう。

寝る直前に食事をしない

食べ物が口から入ってくると、普段は閉まっている胃と食道のつなぎ目である下部食道括約筋という筋肉が緩みます。また、食事直後は胃の上の方に食べ物がある状態です。

体を右横を下にして横になるにすると、胃の入り口である噴門部が下側になり、重力もかかるので食道側へ食べ物が容易に移動しやすい状態になります。

つまり寝る直前の食事は、胃が食べ物を消化するのに胃酸を分泌している状態で体を横にしてしまうため、逆流が起こりやすくなってしまうのです。

夕食は、少なくとも寝る2~3時間前を目安にとるようにしましょう。

食後の入浴は控える

食事後すぐに入浴をすると、胃のぜん動運動が低下し消化が悪くなることがわかっています。胃の消化が悪くなると、胃の中に食べ物が残る時間が長くなり継続して胃酸が分泌され、結果的に胃酸の分泌量を増やすことにつながってしまうのです。

食後に入浴する場合には、食事から1時間以上あけて入浴するようにしましょう。

決まった時間に3食をとる

胃は口から入った食べ物を最初に消化する臓器ですが、決まった時間に食事をとることで食べ物が入って来る前に消化の準備をするようになります。食事時間が決まっていると、胃の動きや胃酸の分泌、消化もスムーズに行えるのです。

日によって食事をとる時間がバラバラであったり、食事を抜いてしまう日があったりすると、胃酸をうまく分泌できなくなります。

逆流予防のためにも、食事は決まった時間にとるようにしましょう。また、3食とることで1回にとる食事量を減らすことにもつながります。

アルコールのとり方を工夫する

アルコールは、胃以外の消化管へ大きく影響を起こす因子です。胃では、胃酸を多く分泌させることがわかっています。アルコールだけではなく、おつまみ(枝豆・豆腐・白身魚など脂質が少ない物)を一緒にとることで胃酸の分泌を抑えることも重要です。大量の飲酒は胃酸の分泌を増加させるだけではなく、胃のぜん動運動を低下させてしまいますので、特に注意が必要です。

3. 逆流の症状が食事療法で改善されない場合

深呼吸をする男性

逆流性食道炎の症状の一つである逆流は食事療法によって軽減されるとされていますが、短期間では効果を感じられないケースもあります。その場合の次の治療として、理学療法がとられます。

理学療法とは、症状を軽減するための姿勢や習慣を知って日常生活に生かすことです。逆流の症状を抑えるために知っておきたいポイントについてお伝えします。

3-1. 前屈みの姿勢や猫背を避ける

前屈みの姿勢や猫背は、胃を圧迫する姿勢です。特に食事直後には胃に食べ物が多くあり胃酸が分泌されている状態ですので、猫背などで腹部に力が入ると逆流しやすくなってしまいます。

デスクワークなどが主になる方は、知らず識らずのうちに猫背になっていたり前屈みになりやすくなりますし、スマートフォンをよく見る場合でも猫背になりやすいです。猫背のまま長時間過ごすことを避け、姿勢を意識することで腹部の圧迫が避けられます。また、高齢で骨粗鬆症などにより亀背になっている状態や、庭仕事などで前屈みの姿勢を長時間とっている場合にも、胃酸の逆流は多くなります。

3-2. 腹式呼吸を行う

胃酸が逆流する原因として、胃と食道のつなぎ目の位置がずれることで生じる食道裂孔ヘルニアにより、胃と食道のつなぎ目がゆるくなって逆流することがあります。

食道裂孔ヘルニアを直接的に治す方法は手術療法しかありませんが、腹式呼吸を持続的にすることで食道裂孔を形成する横隔膜を鍛えられ、その結果胃と食道のゆるみを改善することが期待できます。

3-3. 喫煙を控える

タバコに含まれるニコチンは平滑筋を緩めるといわれているため、下部食道括約筋圧も低下させる可能性があります。喫煙習慣があり、食後数時間以内に吞酸(喉の辺りに苦みや酸っぱみを感じる、げっぷが増えるなどの症状)がある場合には、喫煙習慣が原因で逆流が起こっているかもしれません。

4. まとめ

楽しく食事をする高齢夫婦

逆流性食道炎と診断され逆流の症状がある場合には、食事療法をうまく取り入れ症状が出ないようにする、症状を軽減することが大切です。

まずは、食事の量を通常量の7割~8割程度に抑えることを心掛けましょう。また、刺激物をできる限り避け、食事時間に気をつけることで、症状が少しずつ緩和していくはずです。食事療法、理学療法でも症状が強く残る場合はやはり薬物療法が必要になると考えられますので、消化器内科専門医がいる医療機関を受診しましょう。

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