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大腸がんになる前に予防できた人、大腸がんになっても早期で発見できた人 ~大腸がんで命を落とさないために~

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大腸がんは日本で増加傾向にあります。
実は大腸がんは治る病気なのです。
そして、他のがんと同様に大腸がんは早期発見、早期治療ができれば亡くなることはほぼありません。
現在では一生のうちに、男性はおよそ11人に1人、女性はおよそ13人に1人が大腸がんになるという報告があります。
つまり、約10人に1人は大腸がんになります。

現在、がんの死亡数は、胃がんを抜いて第2位(1位は肺がん)となっています。
女性では大腸がんはがんによる死亡数の第1位となっています。
また、大腸がんにかかる人(罹患数)は、全てのがんの中で一番多く、第1位です。

ダイエット、運動、禁煙、禁酒など生活習慣の改善により、「予防」することが可能ながんもあります。しかし、いくらそのようなリスクに気を付けても、がんに「絶対にならない」ということは不可能です。

最近、みなさんの家族や親族、同僚などが「がん」と診断されることが多くありませんか?
多くの方が「私は大丈夫かな?」と心配になるかもしれません。

大腸がんは大腸ポリープを切除することで予防できる病気なんです。
そして、早期発見できれば内視鏡治療で短時間で治療することが可能となります。
進行がんでも、なるべく早く発見できれば手術で完治可能です。

今回は、「大腸はになる前に予防できた人、大腸がんになっても早期で発見できた人」について述べたいと思います。

何度も言ってきていますが、大腸がんは予防できる病気であり、早期であれば内視鏡治療で治ります。

そのための第一歩が「便潜血検査」ですが、良性ポリープや早期がんでは見逃しの可能性があり、注意が必要です。
進行大腸がんはいつも出血していませんし、出血していても採取した便に血液が含まれないと、本当は進行大腸がんがあるのに便潜血検査で「陰性」に出てしまいます。
大腸がんがあるのに、間違ってうその陰性という結果になってしまいます(偽陰性)。
なんと約20-30%の進行大腸がんは、偽陰性のために見落とされることがありえます。
消化器系を診療している医師で便潜血検査を受けているという医師をみたことがありません‼

さらに良い検査は大腸内視鏡検査です。精度も高く、その場で内視鏡治療もできます。

大腸内視鏡検査ではリアルタイムで大腸内を確認出来て、ほとんどの大腸ポリープはその場で切除できますし、日帰りで切除できないものでも大学病院や総合病院で数日の入院でおなかに傷をつけずに内視鏡治療で治療することが可能となります。

進行がんでも、おなかを一部切らないといけませんが、大腸切除や抗がん剤治療などで命を落とさないで治ることがあります。

我々、医師は大腸がんが心配なら、大腸内視鏡検査を受けます。
それは、便潜血検査は大腸がんの早期発見に不十分だと知っているからです。

まずは一度、大腸内視鏡検査を受けてみるのはどうでしょうか?

大腸ポリープは、大腸がんになる前の前がん状態ですが、すべてのポリープががんになるわけではありません。
ただし、欧米でも最近の日本でも「腺腫」というタイプのポリープはすべて切除するべきというのが現在のトレンドです。

切除してしまうため、そのポリープが今後がんに本当になったのかならなかったのかは誰にもわかりません。

今回は、大腸ポリープを運よく発見できて、大腸がんになることを運よく防げた症例を紹介します。

症例1

50歳代後半の女性です。下痢がすこしあるという主訴で受診されました。
写真➀、②の大腸ポリープは平坦でそれほど大きくはないのですが、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という入院適応の治療が必要で、大学病院で治療して高異型度腺腫でした。
高異型度というのは、がんに近いもので高リスクの大腸ポリープとなります。
もう数年放置してしまうと大腸がんになる可能性が非常に高くなります。

*写真➀ 通常光での観察です。周囲と比べ少し盛り上がり発赤しているのがポリープです。

*写真② 先ほどの場所にインジゴカルミンという青い色素を散布し、ポリープをわかりやすくしています。

症例2;

40歳代前半の女性です。授乳中でしたが、下痢が時々あり心配で受診しました。
大腸内視鏡検査を受けました。
2個ポリープがあり、1個目(写真③④)は腺腫ではなく鋸歯状病変というポリープです。
その中のsessile serrated lesion(SSL)というタイプは、がん化のリスクがあることが最近報告されており切除の対象です。鋸歯状病変であることは内視鏡でほぼわかります。しかしそれが、SSLかどうかはわからないことが多く、実際に切除してみないとわかりません。
これは結果的には過形成ポリープでした。
そしてもう1個が直腸にあった隆起性のポリープです。日帰り大腸ポリープ切除をして高度異型腺腫でした。
やはりこのくらい大きくなっていると徐々に大きくなり数年後には大腸がんになっているかも知れません。
子育てに忙しいからと言って、検査をさけず検査を受けてみてください。

*写真③ 通常光での観察です。周囲と比べ少し盛り上がり黄色の粘液が付着しているのがポリープです。

*写真④ 先ほどの場所にインジゴカルミンという青い色素を散布し、ポリープをわかりやすくしています。

*写真⑤ 直腸の隆起性ポリープです。

症例3;

50歳代前半の男性です。健康診断の便潜血検査で陽性となり、他院で大腸内視鏡検査を受けました。S状結腸に大腸ポリープを認めましたが、その施設では切除してもらえず、当院を受診されました。
S状結腸に写真⑤⑥のような病変を認め、大腸ポリープ切除を行いました。
治療はたった6分程度で終了しました。結果は、粘膜内がんという浅いところのみに癌が限局している早期大腸がんで完治となりました。
もう何年も放っておいたら、徐々に進行してしまったと思われます。
比較的早く見つかり、助かった症例です。

*写真⑤ 通常光での観察です。

*写真⑥ 大腸ポリープを切除したところです。

写真⑦ 傷口をクリップして終了です。

症例4;

50歳代前半の男性です。下痢がたまにあるということで受診し、大腸内視鏡検査を受けました。
直腸に隆起型のポリープを認め、内視鏡治療を受けられました。
治療はたった5分程度で終了しました。結果は、症例3と同様の粘膜内がんという浅いところのみに癌が限局している早期大腸がんで完治となりました。
もう何年も放っておいたら、徐々に進行してしまったと思われます。
比較的早く見つかり、助かった症例です。

*写真⑧ 通常光での観察です。

*写真⑨ 内視鏡で切除しました。きれいに取り切れています。

写真⑩ 傷口をクリップして終了です。

まとめ

いかがでしたか。
みなさんと同世代の人、そしてご両親、お子様の同世代の人にも大腸ポリープがあります。
ひとりでも多くの方が大腸がんに対する興味や知識をもつことで
大腸がんになる人やなっても亡くなる人を減らすことができます。
一度、大腸内視鏡検査をご検討ください。

当院の大腸内視鏡検査の特徴は、「安全に苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査を提供する」「見逃しのない高精度な観察を行う」ということです。

これまで培ってきた内視鏡検査の経験を十分に活かして高精度で安全な内視鏡検査、治療を行うように努めています。内視鏡を専門とする医師が、各臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知していますので、安心してお任せください。

そしてみなさま各人に合わせた、最適な量の鎮静剤を考えて検査をしています。こちらも多くの経験により検査が苦しさと、検査後もしっかりとした目覚め・気分不良がないように配慮するように努めています。

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