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胃がんになったらどうなる?治療や手術後の生活について解説

  • がん

一定の条件下であれば、早期胃がんは完治することが可能です。ただし、内視鏡で切除できない早期胃がんや進行胃がんの場合は、外科的手術が必要となります。外科的手術によって胃を切除すると、胃という消化器官を失うことになり、今までの生活の質を維持することは困難です。

今回は、胃がんになった場合の治療方法や外科的手術で胃を摘出した場合にどんなことが起こるかを解説します。

1. 胃がんの治療について

注射器とバイアル瓶

胃がんの治療は、下記の方法があります。

・内視鏡治療
・外科的手術
・薬物療法(抗がん剤治療)
・緩和ケア

胃がんの進行状況や胃がんの状態によって、治療方法は異なります。胃がんの進行状況は、病期(ステージ)で表し、病期に応じた治療を基本とした上で、治療を選択していくことになります。

治療の選択は、本人の年齢、生活環境、希望を踏まえ担当医師と話し合うのが一般的です。

1-1. 胃がん治療の選択

胃がんが発見された場合は進行状況や状態によって、治療方針がある程度決まっています。胃がんの治療方針を医師と相談する際には、おおまかな治療方法を理解しておくことが大切です。

おおまかな治療方法は、下記の通りです。

胃がんの治療方法

上記で示した治療方法は大まかなものであるため、早期胃がんであっても外科的手術が必要になるケースもあります。本人の体質や既往歴、年齢も考慮されるためどのような治療があるかを理解し、医師との相談の場で自身の希望もしっかり伝えることが大切です。

2. 早期胃がんと進行胃がんの違い

癌

胃粘膜から胃がんが発生し少しずつ増殖をしていきます。胃粘膜にはリンパ組織や血管などが少ないため、がんが発生してもがんが粘膜にとどまっている間は転移することがほとんどありません。

胃がんはがんが胃壁のどの層まで進んでいるかで、早期胃がんか進行胃がんに分類されます。その基準となるものが、壁深達度(T因子)です。

壁深達度(T因子)は下記の通りです。

T1a:粘膜内にとどまっている状態
T1b:粘膜下層までにとどまっている状態
T2:粘膜下層を越えてがんの浸潤がある状態、または固有筋層までにとどまっている状態
T3:がんの浸潤が固有筋層を越えているが漿膜下組織にとどまる病変(SS:subserosa)
T4a:漿膜表面にがんの浸潤が進んでいる状態、または漿膜表面を破って有利腹腔に露出している状態
T4b:直接他臓器までがんが浸潤している状態

早期胃がんは、T1aとT1bにあたる状態でがんが粘膜または、粘膜下層にとどまっています。粘膜下層より深くがんが浸潤している状態、つまり筋層にまで浸潤している場合は、進行胃がんと診断されます。ただし、壁深達度(T因子)はリンパ節転移の有無は考慮されていないため、胃がんの進行度と一致しない分類です。

2-1. 早期胃がん

「胃がん」と聞くと死をイメージされる方もいますが、早期胃がんで条件を満たしていれば完治も望めます。

早期胃がんで内視鏡治療が可能な場合は、体への負担も通常の手術とは比べることができない位に軽減できるのが特徴です。

2-2. 進行胃がん

進行胃がんは、粘膜下層を越えて筋層にまで広がる状態です。胃周囲のリンパ節への転移だけで、遠隔リンパ節に転移がない場合には、外科的治療と再発予防のための術後の薬物療法を1年間行います。遠隔リンパ節や他の臓器への転移が認められる場合には、ステージIVとなり外科的手術は適応外になり、全身状態によって薬物療法を選択することとなります。

3. 早期胃がんの治療

手術道具

定期的な胃カメラ検査を受けている場合、胃がんを疑う病変が見つかることがあります。病変を生検(バイオプシー)した結果、早期胃がんと診断された場合は内視鏡治療によって胃がんを切除し完治する望みが持てます。

胃がんが粘膜内にとどまるケースであれば、大きさやがん細胞の分化度(悪性度)によって、内視鏡治療の選択が可能です。

ただし、早期胃がんにもさまざまなケースがあり、印環細胞がんというスキルス胃がんのもとになる分化度の場合はがんの大きさによっては内視鏡治療が選択できないケースもあります。

3-1. 内視鏡治療できる条件

早期胃がんの内視鏡治療の適用について、日本胃癌学会や日本消化器内視鏡学会、日本消化器病学会などが出している絶対適応病変の方針は下記の通りです。

・長径2cm以下
・分化型がん(高分化、中分化型腺がん)
・潰瘍がない
・粘膜内がん

上記の条件を満たし内視鏡でがんを切り取ることができれば、術後の病理組織検査の結果により完治も見込めます。相対適応病変といって少し条件を緩めた適応もありますので、詳しくは内視鏡治療を担当する医師にご相談ください。通常、内視鏡治療後は穿孔や合併症などによる出血がなければ1週間で退院も可能です。

3-2. 内視鏡治療の適応でない早期胃がん治療

早期胃がんであっても、内視鏡治療の適応を外れた場合は外科手術による治療が必要です。その場合は、近年は腹腔鏡下手術の良い適応になります。腹腔鏡下手術は、腹部に2~3cm程度の穴を3~4つ空け、器具を挿入しがんを切除する方法です。開腹手術に比べ体の負担も少ないのが特徴です。

腹腔鏡下手術は、技術認定医が在籍している医療機関で受けられ、術後10日~2週間で退院可能です。ただし、腹腔鏡下手術が受けられないケースもあります。

腹腔鏡下手術が受けられないケースは下記の通りです。

・他の手術を受けたことがありすでに傷がある
・高齢である
・肺機能が悪い

上記に当てはまる場合には、腹腔鏡下手術ではなく従来通りの開腹での手術になるケースが多いです。

4. 内視鏡治療

胃カメラ

内視鏡治療には、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とEMR(内視鏡的粘膜切除術)があります。

4-1. ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

早期胃がんで絶対適応病変と医師が診断した場合の治療第一選択は、内視鏡治療です。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)では、電気メスのデバイス(ITナイフやデュアルナイフなど)を用いてがんの部分とその周りを一括で薄く切除します。

ただし、ESDはリンパ節への転移がない早期胃がんを対症とした治療であるため、切除した標本での病理組織検査で少しでもリンパ節転移の可能性がある所見を認めた場合には、追加の外科手術が必要です。

4-2. EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMR(内視鏡的粘膜切除術)は、電気メスのワイヤーでがん細胞を囲い切除する方法です。ワイヤーの大きさ内に収まるサイズのがんであれば、EMRで対応できます。

ただし、EMRは切除範囲に限界がある点や切除する範囲がESDと比べると確実ではない点から、現在はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による治療が標準的であると考えてください。

5. 進行胃がんの治療

胃のイラスト

進行胃がんは、がんの浸潤が深くがんのサイズも大きくなっている状態です。それ以外にリンパ節への転移も考えられます。

進行胃がんの治療は外科的手術のみで、がんが発生した場所によって切除する胃の範囲も異なります。

外科的手術は下記の3つです。

・胃全摘
・噴門(胃入口)側胃切除
・幽門(胃出口)側胃切除

5-1. 胃全摘

胃の血管は、左胃動脈静脈・右胃動脈静脈、短胃動脈静脈、左胃大綱動脈静脈・右胃大綱動脈静脈の3つに分けられます。血流の関係から胃の上部にがんができた場合は、通常は胃の全摘出となります。

全摘出後は胃がまったくない状態となりますが、胃の機能再建ではなく食事がとれるように食道と小腸をつなげ手術を終える形が一般的です。

5-2. 噴門側胃切除

胃の入り口部分を噴門(ふんもん)といい、噴門とより肛門側にあるがん病巣を取り除き幽門を残す方法を噴門側胃切除といいます。

5-3. 幽門側胃切除

胃の出口部分を幽門(ゆうもん)といいます。 幽門側胃切除では、幽門と胃の出口側を約3分の2切除します。幽門側胃切除は、胃上部にがんがない進行胃がんにおいて選択される標準的な外科的治療の術式です。

6. 外科的治療後は普通の生活には戻れない

動悸で苦しむ高齢女性

進行胃がんが見つかり外科的治療で胃を摘出した場合には、胃の機能を補う再建を行うことなく食事がとれることを優先に消化管をつなぎ合わせるだけです。

本来、口から入ってきた食べ物を胃酸で消化し次の消化器へ送りますが、胃がないことで、新たな症状が起こる可能性が高くなります。

また、胃の3分の2を切除した場合には平均で約5kg、全摘の場合には約10kg痩せるといわれています。

6-1. ダンピング症候群

通常、口から入った食べ物は胃で消化され他の消化器へ送られますが、食べ物が直接腸へ送られてしまうために急激な血糖値の上昇と下降が起こります。

急激な血糖値の上昇と下降が起こることで、次のような症状が現れます。

・動悸
・発汗
・頭痛
・手や指の震え

ダンピング症候群の症状を軽減させるためには、1回の食事量を減らし1日の食事の回数を増やします。特に、胃全摘後の場合は、1日の食事を5食に分けて食べるよう指示されます。

7. まとめ

男性医師

定期的に内視鏡検査を受けることで胃がんを早期発見できれば、完治が望めます。その一方で、進行胃がんとなった場合には胃を摘出することで術後の生活はガラリと変わってしまいます。

術後の生活を考えると過酷な状況になることも考えられるため、内視鏡治療が可能な早期の間に見つけることが賢明です。

胃の切除が必要になるような早期胃がんや進行胃がんにならないためにも、ピロリ菌を含めたリスクの評価と、リスクに応じた定期的な胃カメラ検査をおすすめします。

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